<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男
年齢:58
プロフィール:妻(56歳)の実家から車で5分の所に住む地方公務員です。少し認知症気味の義父(83歳)には難儀しています。
今から5年ほど前のことです。
秋口の夕方、帰宅してみると郵便受けに1通の封書が入っていました。
「...知らない会社だなあ、なんだろう」
ダイレクトメールの類かと思って開封してみると「購入資産に関するお支払いのお願い」という文書が入っていました。
「何だこりゃ?」と思い内容を見ると、私が契約した毎月定額ずつ金を購入する商品について、初回振込分が未払いなので、至急振込用紙を使って振り込んで欲しいという督促状でした。
全く身に覚えがありません。
「新手の詐欺かな? こんなのにひっかかる奴いるかね、そもそも振込用紙なんてないしな...」
この手のものは無視するのが一番と思っていました。
その数日後、実家に行った妻(56歳)が驚いた表情で帰ってきました。
「ねえ、これ見て! 知ってた? このこと」
「はあ? 何のこと?」
妻が差し出したものを見ると、銀行の振込用紙でした。
振込先に書かれている会社名は、先日のあの督促状と同じものです。
「お父さん(83歳)がね、この間いい話があったから、ウジさんの分も申し込んでおいたぞ、って言うのよ!」
「いやいや、聞いてないし...」
とにかく事の経緯を確かめようと、直接義父に話を聞くことにしました。
「いい話なんだ! 黙ってても毎年100万も儲かるって言うんだぞ!」
お父さんはまるで自慢話でもするかのように意気軒昂でした。
少しずつ聞き出していくと、1カ月ほど前に飛び込み営業で来た青年に勧められて契約を決めたとのこと。
「俺が紹介者になればな、ウジさんの名前でも申し込みできるって言うから、申し込んでおいてやったんだ」
「お義父さん、毎月5万の購入で年に100万も儲かるわけないですよ。騙されたんですよ、それは」
「何言ってんだ、俺はちゃんと話を聞いてだな...」
義父はすっかり信じ込んでいるようで、取り付く島もありません。
義父の説得は難しいと思い、この日は引き上げました。
しかし義父の話が本当なら詐欺商法の可能性もあります。
振込用紙や文書、お父さんから預かった営業マンの名刺などはおかしなものではなかったので、連絡を取ってみることにしました。
「紹介者を通しての契約の場合、初回振込がない限りは契約は成立しませんので...」
電話口での説明を受け、確かに文書の裏の隅っこにそのようなことが書いてありました。
「1年で100万も儲かるって話をしましたか?」
「パンフレットにある通りです。毎月上限額を積み立てた場合、金の相場次第でその可能性もあるという説明です」
つまるところは詐欺というわけではなく、美味しい所の話だけかいつまんで義父に説明し、義父はそれを鵜呑みにしたということのようでした。
私の分の契約はその場でキャンセル(というか初回振込を拒否)しましたが、お義父さんの分については本人の承諾と違約金の支払いが必要ということでした。
「しょうがないわね。とりあえずお金が減っちゃう訳ではないようだから、しばらく積み立てさせてみて、折を見て解約を説得しましょう」
妻の提案で、さしあたり様子を見ることにしました。
妻に運用報告書について詳しく説明をされた義父が、「100万円なんて大嘘こきやがって!」と激怒して解約したのは1年後のことでした。
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