ひねくれていた自分が恥ずかしい...。娘たちの書き初めを見て思い出す、 15歳の私の過ち

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:まさかず
性別:男
年齢:42
プロフィール:自分以外の家族全員が習字教室に通う、字を書くのが苦手な父親。

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字がきれいな人は、とても素敵だと思います。

私は書くことが苦手なので特にそう思います。

娘たちにはきれいな字を書いてほしいと思い、我が家では長女(15歳)を筆頭に4姉妹全員が習字教室に通っています。

最近では、妻(42歳)も同じ教室に通い始めました。

毎年、学校の冬休みの宿題になる書初めは、成果の見せどころ。

一生懸命練習して提出します。

今年は、中3の長女(15歳)と小6の次女(12歳)がクラスの代表に選ばれました。

次女は小1から6年連続で選出されたことになり、我が家のちょっとした自慢です。

しかし、「よかったね!」と喜んでいる家族の横で、私には「書初め」と聞くと胸がキュっとなる思い出があります。

話は27年前に遡ります。

当時、15歳の中学3年生だった私は、大学付属の高校の合格を目指して進学塾に通っていました。

毎週末に模擬試験を受けて、出た偏差値を見ては志望校に行ける行けないと一喜一憂していました。

平日は毎日、放課後に塾通い。

夜10時までの授業の後に、家で深夜まで宿題をやっていました。

間に合わない時は、塾の宿題を学校に持っていって学校の授業も聞かずにやっていました。
授業中に先生にさされたら、そこで初めて課題を読み回答。

「お前、義務教育舐めてるのか?」

当時の数学の先生にそう言われ「はい」と答えたことは今でも覚えています。

冬休みともなると、いよいよ佳境です。

冬期講習は正月休みもなく、お弁当を持って毎日朝から晩まで塾に浸っていました。

そこに出た書初めの宿題。

当時の私は、学校の宿題なんて迷惑としか思えませんでした。

「今後の人生を左右する受験勉強で忙しいのに、書初めなんて何も足しにならない。やりたい人だけが出せばいいんじゃないの?」

教室でも家でもそう口に出していたと記憶しています。

やる気がないなら出さなければよかったのですが、公立校の内申点も気になった私は、親に内緒で書初めの代筆を同居していた祖母に依頼。

祖母は一生懸命書いてくれました。

そこに名前だけ自分で書いて、シレっと提出しました。

冬休みもその後も、塾漬けの日々は続いていました。

教室の後ろの壁に並べれられた書初めには興味も持ちませんでした。

そんな1月の下旬。祖母が書いた書初めの下に金色の折り紙の短冊が付いてましたが、私はその意味すらも理解していませんでした。

「まさかず君。習字選ばれてるね」

友だちに声をかけられましたが、「あぁ、ばあちゃんに書いてもらったからね」となんの悪気もなく話をしていました。

その後、担任の先生に放課後に呼ばれました。

「正直に話して。あの書初めは、あなたが書いたのではないでしょ? 名前と本体の筆跡がちがうわよ」

「はい。書初めをする時間もなかったので祖母に頼みました」

「お正月に書初めをする意味、分かってるわよね。どうするつもりなの?」

「...」

「どうするの?」

「書き直してきます」

週末に「やり直し」と自分で書いて再提出しました。

当然短冊が付くはずもありません。

そんな中学生時代の私に比べて現在の我が家では毎年、娘たちがクラスの代表に選ばれる為に一生懸命練習をしています。

選ばれたら、区のホールの展示会に行って記念写真を撮ります。

習字の先生や祖父母にも報告して「よかったね」とみんなで喜びます。

今年選ばれなかった四女(7歳)は、来年は選ばれるようにと習字教室での集中力が上がったそうです。

そんな娘たちをみていると、もし、27年前の自分のクラスにも同じように一生懸命書初めをして、金の短冊を目指していた友だちがいたとしたら...と思い返してしまいます。

申し訳ない気持ちでいっぱいですが、いまとなってはその友だちに謝ることもできません。

「高校受験に合格する」

その為だけに、中3の私は多くの大切なものを見失っていたように思えます。

一方で、娘たちの話によれば、最近は年明けになると小中学校の最高学年では、受験勉強の為に1カ月程度学校を休む子がいるそうです。

その子たちは大人になったら、この時期のことをどのように振り返るのでしょうか。

27年前に書き直した下手な「やり直し」の文字が、毎年この時期になると私の胸をきゅっと締め付けてきます。

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