議員たちの公費での旅行は意味がある? 実際のところを知りたい/幸せに生きるための政治

「政党交付金」とはなにか。これ、私たち全員に関係があります。

これは国民1人当たり250円(議論した当時はコーヒー1杯分といいました)の税金を各党に割り当てる制度です。導入したのは、「クリーンな政治」を目指したから。

昔はロッキード事件だ、リクルート事件だと何千万円という巨額のお金が動いただけでなく、選挙でも露骨にお金がばら撒かれて、政界は腐敗していました。1988年に発覚したリクルート事件では、多くの有力議員が摘発されました。

政治にはお金がかかる。企業や団体からの献金や寄付でまかなおうとするといろんな汚職が起きたりするから、そういうことのないように国から政党に助成しましょうと1994年の政治改革でできたのが「政党助成金制度」です。その代わり、企業・団体献金を広く制限しました。

しかし、政党交付金とは別に、ちゃっかり今も政党支部等への寄付が可能なので、実質的に企業献金は受け取っていますから、導入されたときに想定されていた気高き理想はどこへいったのやら。よく目を凝らさないと、「政治改革」はお手盛りになりがちです。一時期話題になった旧文通費問題の透明化も遅々として進まないままです。

ちなみに政党助成金の2023年分の総額は約315億円。国会議員の数などに応じて各党の配分額が決まります。自民党には約160億円。自民党の全収入に占める政党助成金の割合は約6割です。つまり、政治活動の多くを税金に頼っているものの、自民党の金庫にはいろんなお金が入ってきます。

でも、政党交付金の使い道については国は一切、口を出さない、自由だということになっています。良識に任されているので、なにに使っているかはよくわからないのです。これはちょっとよろしくない。領収書添付徹底や電子的な入力を通じて再分析をしやすくして透明にすべきです。

渦中のメンバーの1人は「次回の内閣改造での大臣内定をもらっていたのに、〝あんなしょうもない〟ことでダメになっちゃった」と漏らしたとか。その気持ちもわからなくはありません。昭和の政治家たちの手記を読むと、向こうで女性をアテンドしてもらったとか、エッフェル姉さんとは比較にならないほど海外で無茶苦茶やっていたことを窺わせる記述もあります。

もちろん国民感情に配慮が足りなかったとは思います。物価高もありますし、新型コロナで長く海外へ行けず不満が溜まっていました。ぼくは案外、物見遊山的な海外視察は肯定的です。物見遊山でしか広げられない幅もあるはずだからです。そのバランスはいったいどのあたりにあるのが好ましいと考えますか?

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※本記事は西田 亮介(著), 池上 彰(責任編集)の書籍『幸せに生きるための政治』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。

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