脳での不安が減る、太りにくくなる...最新研究でわかった「腸活」7つの効果【薬学博士・國澤先生が解説】

″腸漏れ″を防ぐ

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腸内環境が乱れると、腸漏れ(※1)という異常が起こります。

「腸漏れによる不調は、だるい、疲れやすいという程度で実感しにくいものですが、体の中でじわじわとダメージを与え続けて、糖尿病や動脈硬化などの病気になって現れます」。

腸漏れの原因は老化の他、腸内に有害な菌が増えること、短鎖脂肪酸を生み出す菌のエサ不足などです。

腸内細菌のバランスを整え、予防や改善に努めましょう。

※1 何らかの原因で腸壁に炎症を生じ、そのスクラムが緩んで、毒素や細菌、未消化の食べ物などが血液中に侵入してしまうこと。

免疫が整う
「腸には、体全体の半分以上もの免疫細胞が集中していて、異物が侵入してきていないかを常にパトロールしています」と、國澤先生。

免疫は高ければよいというものではなく、バランスが重要。

例えば、短鎖脂肪酸の酪酸は、免疫が異物に対して過剰反応しないよう制御する働きをしています。

免疫をコントロールする腸内細菌がしっかり働いていれば、免疫もバランスを保って働くことができます。

がん治療の効果アップ
研究では、がんの治療に用いられる「免疫チェックポイント阻害薬(※2)」の治療効果に、腸内細菌が関係していることが分かっています。

例えば、免疫チェックポイント阻害薬がよく効いた人たちは、腸内に共通する腸内細菌がいた他、腸内環境の多様性が高いことが報告されています。

腸内細菌に働きかけることで、がんの治療をより効果的に行うことができる可能性があると期待されています。

※2 がん細胞の中には、免疫細胞の働きを抑えようとするものがいます。その働きをブロックして免疫が働くようにする薬剤。

肌が若々しくなる

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腸の状態と全身の老化状況は強く影響し合っています。

腸内環境が悪化したり、腸漏れを起こしていると、肌の老化が進みます。

「鏡を見て、急にしわが深くなったと感じたら、腸漏れによって免疫細胞がオーバーワーク(働き過ぎ)を起こしているかもしれません」

腸内環境が整うと、老化のスピードを遅らせる可能性も高まります。

食事で腸内をコントロールすることが若々しい肌の秘訣です。

構成・取材・文/寳田真由美(オフィス・エム) イラスト/佐々木一澄

 

<教えてくれた人>

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN ニビオン)
ヘルス・メディカル微生物研究センター センター長

國澤 純(くにさわ・じゅん)先生

大阪大学薬学部卒業、薬学博士。米国カリフォルニア大学バークレー校へ留学後、2004年東京大学医科学研究所助手。同研究所助教、講師、准教授を経て、2013年より現所属プロジェクトリーダー。2019年より現職。

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