部屋を整理整頓するために、ネットや雑誌で知った「収納用品」をたくさん買ってきて意気揚々!やる気に満ちて片付けをし始めたのに、終わってみたら結局レイアウトが変わっただけ、なんて経験ありませんか?
本書『モノを元に戻す技術』では、ベストセラーとなった『シンプルに生きる』の著者であるフランス人作家が、実際に日々行っている「片付け術」を惜しみなく紹介。「どうしたらスッキリ片付いた毎日を送れるのか?」迷える子羊を救う、片付け術の全てを伝授します!
◇◇◇
前の記事「片付けの最大のメリットは「エネルギーの無駄な消費」を減らせること/フランス流片づけ(3)」はこちら。
整理整頓は時間の節約
私たちはばかげていて、すべてを征服したがる。
まるですべてのものを所有する時間があるかのように!
フリードリヒⅡ世『反マキャヴェリ論』
片づけが好きな人もいるのに、なぜ反対に片づけを毛嫌いしたり、ないがしろにしたり、片づけることはまったく時間のむだだと思ったりする人がいるのでしょうか?
それは何よりも、片づけに時間を使うことは、すばらしい効果を生むということをおそらく理解していないからなのでしょう。片づけによってもたらされるメリットは、投資した時間をはるかに上回ります。必要なものをすぐに見つけられることで、明らかに時間の節約となり、ひそやかな満足感を味わうことができるようになります。ひとたび部屋が整えられると、「片づけが大好き」になった人は、不要なものがなく空っぽで完璧に整った住まいが、どれほど安らぎを得られ、時間やエネルギーの節約になるかがわかるのです。
自宅においてすべてが片づいていて、散らかりによって身体が束縛されることがなく、すべてのモノが喜びと満足感を持って使用されるとき、心は穏やかになります。心地よい部屋とは、気分がいいという事実すら忘れる部屋です。
身体とまったく同じように、心もゆとりや安らぎ、秩序、そして喜びを必要としているのです。
空間は都会人のぜいたく
大都市では、1平方メートルあたりの価格を計算するだけで、現代の大きなぜいたくの一つは空間であるということがわかります。地価がものすごく高いからです。片づけることができると、所有するものをより少なくすることができるだけでなく(自分が持っているモノがわかるので、「だぶり」がなくなります)、空間の節約にもなります。同じ量のモノでも、収納方法によって占める面積は異なります。
キャビネットの中や棚の上に整理整頓されていたり扉の裏に引っかけられたりしている場合と、散らかっている衣装だんすの中や棚の上、床の上に放りだされている場合とでは異なります。
では、私たちは誰のために、これほど高い場所代を払っているのでしょう?
私たち自身のためでしょうか?
それとも私たちが所有するモノのためでしょうか?
自分の所有物(多くの場合、処分しようと思ったときにはほとんど価値がないもの)をしまうためにトランクルームを借りている人は、年末にお金がどれほどかかったか計算してみるといいでしょう。騒がしい都会において、空間や静寂よりも価値のあるものなどあるのでしょうか?
片づけると浪費しなくなる
あるものが売れなくなるためには、人々がもう買わなくなるだけで済むのだ。
コリューシュ
片づけると、あらゆるものすべて認識することを余儀なくされます。どの本をとっておくか、どの食品ストックをゴミ箱に捨てるかなどです。そうすることで、自分自身について自問するようになります(これは成長です!)。
「どうして一度も使わなかったこのスパイスを買ったんだろう? このブランドのハンドバッグをクレジットで奮発して買ったとき、私は何を期待していたのだろう? このブラウスを選んだとき、私は本当に自分らしいと感じたのだろうか?」と。
このとき感じる「後悔」や「罪悪感」は、マイナスではないはずです。それらは私たちに次のようなメッセージを送るために存在しているからです。
「君は成長した。今、自分の好みがよりはっきりわかった。見かけに左右されなくなり、消費者運動の落とし穴をより自覚している」。言いかえれば、「より賢い生き方をするようになったし、広告の大きな誘惑に乗せられなくなった。君は自分自身の人生の主人になったのだ」ということです。片づけることで、より自分に耳を傾け、自分を知り、人生の質を高めることができるようになるのです。
次の記事「持ち物の90%は不要!? 片付けで日常を見直すと命も守れるんです/フランス流片づけ(5))」はこちら。