性別:女
年齢:61
プロフィール:一人暮らしを始める長男が私をシャットアウト。子離れできていない自分に驚いています。
※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。
◇◇◇
私がここ数年買っているカレンダーは、家族の予定が書き込めるものです。主人、私、長男、次男の順で、名前のアルファベット1字をそれぞれの予定欄の見出しに書いて使っています。
でも、今年はT(主人)R(私)のアルファベットを書いた後を、どうしても書けずにいました。長男が引っ越しをするからです。家からいなくなるのだから、当然私の後にくるのは次男のアルファベットなのはわかっています。でも、長男を飛ばして書くのはなんとなく寂しくて、書けないのでした。
長男は現在28歳。同年代の子供たちはとっくに独立しています。中には、就職して最初の配属先が他府県だったという人も。だから、長男が家を出るのはむしろ遅いぐらい。なので、28歳の息子の独立を寂しがるのはおかしいことだとはよくわかっています。
私自身、長男は早く独立したほうがいいと思ってきました。自分の部屋を掃除するだけで家のことを何もしない、クリーニング屋さんに出すワイシャツさえ母親である私に部屋から集めさせるのだから、こんな状態で結婚することになんてなったらお嫁さんが大変だ、なんて思って心配していました。
それなのに、なかなかこの胸の内から去ろうとしない寂しさに戸惑っています。
長男は、大学を卒業後もサークルの役員をしていたのですが、最近後輩にバトンタッチをしました。また、近く仕事が繁忙期に入り、毎日残業で12時前後の帰宅になります。
そこで、「独立するなら、このタイミングしかないから」と、部屋を探し始めました。「結婚するまでは家の近くで」と長男は言っていたのですが、当時の私は「もっと遠くでないと独立することにならない」とさえ思っていたのです。
探すうちに、つい最近リフォームしたばかりの、予算にあったいいマンションがみつかりました。我が家からも自転車で7分くらいです。
家具や電化製品は長男一人で買うのだろうけれど、食器やこまごました雑貨は、私が用意するつもりで少し楽しみにしていました。
「お茶が好きだから、急須もいるね」、「寝具は、新しくした方がいいよね」と声をかけると、「必要な物をリストアップしているから大丈夫」との答えが返ってきます。
何回か会話をしているうちに、長男は私の手助けは不要と思っていることがわかってきました。「家から持っていくのは、洋服や本以外では電子ピアノと自転車だけで、他は何もいらない」とも言われました。
「カーテンを買うために窓のサイズを新居に測りに行く」というので、「手伝うよ」といった時の長男のいやな顔にショック。
「自分一人でしないと独立したことにならないよ」と、私を何かにつけシャットアウトするのが悲しくてたまりません。
日増しに元気をなくしていく私に、主人は「俺がいるじゃないか」などと言います。
長男は、私ががっかりしていることはわかっていたようです。
ある時、先輩夫婦から「早く独立した方がいい。結婚相手にと紹介された男性が、いい年をして親元で暮らしていると聞くと引かれちゃうよと言われたんだ」と慰められました。
そうこうしているうちに、息子の引っ越しの日になりました。ベッドもソファも全部自分で組み立てなくてはならないので、とても大変そうです。週末しか片付けができないから、まだまだ片付かないようです。
今まで、自分がこんなに子ばなれしていない母親だとは思ってもいませんでした。
どうしているかしらとつい長男のことを考えてしまうけれど、私も心のお片付けをしなくてはと思います。落ち着いたら招待してくれるといったので、楽しみにして待っています。
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。