部屋を整理整頓するために、ネットや雑誌で知った「収納用品」をたくさん買ってきて意気揚々!やる気に満ちて片付けをし始めたのに、終わってみたら結局レイアウトが変わっただけ、なんて経験ありませんか?
本書『モノを元に戻す技術』では、ベストセラーとなった『シンプルに生きる』の著者であるフランス人作家が、実際に日々行っている「片付け術」を惜しみなく紹介。「どうしたらスッキリ片付いた毎日を送れるのか?」迷える子羊を救う、片付け術の全てを伝授します!
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片づけることで、日々の暮らしを新たに定義し直すことができる
影ぼしもまめ息才でけさの春
小林一茶
片づけることで、自分のまわりを整理する気になるだけでなく、いくつかの自分の習慣を定義し直す気になったり、より意識的に生きる気になったりするのです。
取りかかる前にマットレスのサイズに合わせたシーツを見つけ、破れたり染みがついたりしていない枕カバーを見つけ、といったような作業が必要になるとベッドメイキングをするのがうんざりしますね。そうではなく、定位置に整然と並んだリネンから、清潔でいい香りのするきれいにたたまれたシーツと枕カバーのセットを見つけられたら、なんてうれしいことでしょう!
片づけとは、まとめるだけではなく日常を整理し直すことです。自分の選択を見直し、優先順位を見直す、つまり何がもっとも重要かつ大切で、何が二番目で、何が不要なのかを考え直すことなのです。
もっともよく使う食器を知ることで、自分の食生活に気づきます。
それはデザートボウルでしょうか?
パスタ皿でしょうか?
サラダボウルでしょうか?
私たちは少しずつ己を知るのです。
私がもっともよく着る服はどれ?
と。
すると、自分の生き方のちょっとした欠点に気づくこともできます。いらいらさせるけど、一見特徴がないのですぐには感じとれないような欠点です。
「私のお茶の出し方は完璧かしら?
私が伝えたいおもてなしの心に合っているかしら?
思いがけない来客にもお出しできるお茶菓子は常備しているかしら?」
つまり片づけは、それを本当に実践した場合、自分自身の生き方を自覚するのに役立つのです。「外観(たとえば来客時に恥ずかしくないように部屋を片づけること)」と自分自身の「充足感」を切り離せるようになるのです。自分のためだけの充足感を大切にしましょう。
家をきちんと片づけることは、自分の命を守ること
大規模な自然災害や大事故、緊急事態が起こったとき、散らかった部屋にいては助かる見込みはありません。モノを所有しすぎると、管理しきれず、危機にすばやく対応できません。救急箱を見つける、入院したばかりの近親者や亡くなったばかりの近親者の身分証明書を見つける、停電になったらろうそくとマッチを見つける......。果たしてそれができるでしょうか?
大半の人の家では、所有するモノの3分の1か3分の2、もっと言うと90パーセントが不要だということを忘れないでください。必要不可欠なモノは、限りなく少ないのです。
あなたが持ち続けているモノは、必要だから持っているのでしょうか?
それとも、ただ捨てられなくて持っているのでしょうか?
10 年間触れずにいて、今後10年、20年、30年とおそらく使わないモノを、あなたはどうして取っておくのでしょうか?
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