梅は昔から疲労回復の食材として重宝されてきましたが、いざ梅干しをはじめ梅の保存食を作ろうと思うと、たいへんそうで身構えてしまうもの。でも、梅を冷凍することで少量ずつ、簡単に作ることができるのです。今回は、管理栄養士で料理研究家の村上祥子(むらかみ・さちこ)さんに「少量で低塩の梅干しの作り方」を教えてもらいました。
梅が出回るのは一瞬の季節です。冷凍梅にしておくと、いつでも好きなときに梅の保存食を作ることができるので、毎年、梅が店頭に並んだら冷凍しておきます。そうすれば梅干しも、大量に作って保存しなくてもいつでも作れます。また、冷凍すると繊維が壊れるので酢や砂糖に漬けたとき、成分が早く浸出するのも利点です。
梅の健康効果
梅はミネラルを豊富に含んでいてカロテン、ビタミンCなども豊富です。梅の酸味のもとはおもにクエン酸とリンゴ酸で、胃酸の代用となるので整腸作用や食欲増進に効果があります。とくにクエン酸は疲労回復効果が大きく、強力な殺菌・抗菌作用もあります。
冷凍梅の作り方
好みの量の青梅をザッと洗い、水けをきったらヘタを竹串で取り除き、乾いた布で拭いてポリ袋に入れて冷凍する。使用するときは冷凍のまま使う。冷凍梅は梅干し作りで必要な重石や、シロップを作る際に果肉にフォークなどで何カ所かに穴を開ける手間も省けます。
※保存容器は清潔で完全に乾いたものを利用してください。
保存袋で作る少量で低塩の梅干し
梅干し
1個あたり5kcal/塩分1.1g
梅酢
大さじ1あたり19kcal/塩分0.8g
できあがりまでには時間がかかる梅干しは、冷凍梅で漬けると干して完成するまでわずか10日ほどです。途中で電子レンジ加熱の過程を加えると、熟成もさらに加速されてとても早くなります。
今回は、500gの冷凍梅で塩分10%の低塩梅干しを漬けるレシピをご紹介します。梅酢もしっかり作れるので、こちらも料理に活用してください。
材料(冷凍梅500g分)
冷凍梅...500g
塩...50g
はちみつ...50g
米酢...100ml
作り方
(1)ジッパー付き保存袋に冷凍梅を入れ、塩とはちみつを加える。
(2)ジッパーを閉じて袋の外からもんでよくなじませる。
(3)酢を注ぎ、再度、袋の外からもんでなじませ、ジッパーを4cmほど開けたままにして閉める。
(4)電子レンジ弱(100~200W)または解凍キーで30秒加熱する。
※梅の見た目には何も変化はありませんが、1秒間に24億5千万回の電磁波の振動が当たることで熟成が進む。
(5)取り出してジッパーを閉め、バットにのせて常温におく。
(6)3日後には、梅酢が出てきて梅全体をおおう。
(7)1週間後には、梅にしわができて漬かった状態になる。ボウルにざるをのせ、梅酢をきる。
(8)竹ざるに並べて日が当たらない戸外で日中干す。日に当たるとカチカチになる。
(9)もう1日干したらできあがり。
(10)できたら手でやわらかくもむと種ばなれがよくなる。
梅酢
上記作り方の(7)で出た梅酢ははちみつの甘味もあるので、煮物や酢の物、南蛮漬けのたれ、すし飯などに使うとおいしい。できた梅干しを戻して漬けてもよい。
10日ほどで完成!
冷凍梅で作る梅干しと梅酢
500gの冷凍梅で漬けると、梅干し約400gと梅酢約200mlができあがります。
梅干しはそのまま食べてもちろんOKですし、梅酢に再び漬けても、また赤しそに漬けてもおいしいです。
減塩ではちみつも加えているので食べやすい梅干しです。冷凍梅があればいつでも作りたいときに、わずか10日で漬けることができます。1年以上保存できますが、少量なのですぐに食べ切り、また作ってください。
ひと口梅いなり
1個分61kcal/塩分0.4g
材料(4個分)
油揚げ...1枚(200g)
温かいご飯...100g
梅酢...小さじ1
白いりごま...小さじ1/4
梅干しの果肉...1/10個分(4つに切る)
作り方
(1)油揚げはキッチンペーパーを二つ折りにしてはさみ、水でぬらして耐熱容器にのせ、電子レンジ600Wで30秒加熱し、油抜きをする。ペーパーをはずし、四つに切って開く。
(2)ご飯に梅酢とごまを加えて混ぜ、4等分して小さくにぎる。
(3)(2)に(1)の油揚げをかぶせ、梅肉をのせる。
取材・文/石井美佐 撮影/スタジオCOM(中野正景)