ひどい痛みで指が曲がらない、関節が太くなった、指の形がおかしい...。それらの症状、もしかしたら「へバーデン結節」かもしれません。患者数350万人以上とも言われる「へバーデン結節」ですが、原因自体はまだ解明されておらず、手指の痛みをそのままにしてしまっている人も少なくないそう。そこで今回は、麻酔科医・富永喜代先生による著書『全国から患者が集まる麻酔科医の へバーデン結節・手指の痛みの治し方』を紹介。具体的な症状や対処方法、自分でできる痛みをやわらげる治療メソッドなど解説していきます。
※本記事は富永喜代著の書籍『全国から患者が集まる麻酔科医の へバーデン結節・手指の痛みの治し方』から一部抜粋・編集しました。
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どうして手や指に痛みを感じるのでしょうか
人が手を使って細かい作業をしたり、手先の感覚を繊細に感じ取れるのは、指先まで張り巡らされている神経の働きによるものです。
頸椎から出て、ぐるりと腕の中を通っている神経には、おもに大きな3つの神経があります。
手や指の痛みは、この3つの神経を通して感じ取っていることをまず知っておきましょう。
手指につながっている神経は、おもに正中神経、橈骨神経、尺骨神経の3つです。
この3つは頸椎から出て首から腕を通り、指先へとつながっています。
まさに、首と手は、神経を通してつながっているのです。
それぞれの神経の詳しい通り道と、手指のどの部分に関わっているのかは、次の図を見てください。
手指の痛みが出る位置と関わる神経
手のひら
緑色の親指・人差し指・中指、薬指の中指側は正中神経。青色の親指付け根は橈骨神経、ピンク色は尺骨神経が関わる。
手の甲
青色の手の甲の親指・人差し指・中指は橈骨神経。緑色の指先は正中神経、ピンク色は尺骨神経が関わっている。
手指の痛みに関わる3つの神経
神経1
橈骨神経
首から出て鎖骨の下を通り、わきの下から二の腕の骨の外側、手の親指・人差し指・中指へと続く神経。正中神経と並び大きめの神経とされる。
神経2
尺骨神経
首から鎖骨の下を通って、上腕から腕の内側を経て、手の小指と薬指の小指側へと向かって走っている。小指と薬指半分の感覚を伝える。
神経3
正中神経
首から出て鎖骨の下を通り、上腕の内側を下ってひじの内側。さらに、前腕の外側を通って手の関節部分へ至り、手根管ら手のひらへと続く神経。
この3つの神経が首からつながっているため、首周辺に不調がある場合には、手指にも痛みやトラブルが起こることが多いのです。
そのため、普段から肩こりや首の骨がまっすぐになってしまうストレートネックなどの不調を持つ人は、同時に手指にも痛みを感じる、という声がよく聞かれます。
そこで富永ペインクリニックでは、まず最初にX線などの検査を行って、頸椎に異常がないかを調べます。
頸椎で起こっている変形がどの位置にあるかによって、どの手指にしびれや痛みが起こりやすいかを予測することができるからです。
また、神経は体の左右対称に走っているため、もし右側に症状があった場合は、左側にもそのうち症状が出てくるようになるケースも多いのです。
あらかじめこのような手や指に関する仕組みを知っておけば、痛みに対処する助けとなります。