不足しがちな野菜の摂取量を補うには、干し野菜が効率的! 電子レンジを使えば、乾燥時間も大幅に短縮でき、色もキレイなまま。しかも冷蔵で6カ月、冷凍で1年保存ができますよ。今回は、管理栄養士で料理研究家の村上祥子さんに、「レンチンで干す時間を短縮した干し野菜の作り方」を教えてもらいました。
生の野菜100gは干し野菜なら約10g
野菜は1日350gを摂ることが推奨されていますが、2019年の国民健康・栄養調査では280gとなっています。
ここ10年近く、ずっと横ばい状態で、1日あたり100g弱の野菜が不足していることが多いようです。
大根やにんじんの皮、ねぎ、レタスなどが少しずつ残ることがあります。
私はその残り野菜で干し野菜を作っています。
干し野菜といっても、レンジでチンして水分を抜き、室内で広げて乾燥させたもの。
これなら、花粉やPM2・5といった空気汚染の心配も、雨が降り出してあわててしまわなければ、ということもありません。
干し野菜にすると生の野菜の約10分の1の重量になり、野菜をあと100g補いたいと考えている方は、重量だけなら干し野菜約10gを食べればよいことになります。
干し野菜を食卓に上手に取り入れていくと、慢性的な野菜不足から解放され、残った野菜の無駄も解消することができます。
レンチンなので色がキレイ!!
好みの野菜で干し野菜ミックスを作る
材料(できあがり10g分)
好みの野菜や残った野菜など、合わせて100gを用意する。
※今回写真で使っているのはれんこん、にんじん、小松菜を合わせて100g。
10gあたり34kcal/塩分0g
作り方
(1)れんこんは3mm幅の輪切り、にんじんは5mm幅の斜め切りにし、重ねて5mm幅の細切りにする。小松菜は3cm長さに切る。耐熱の平皿にキッチンペーパーを3枚ほど、少し皿からはみ出すように重ねて敷き、野菜を並べる。
(2)ラップをしないで電子レンジ600Wで2分加熱する。
(3)取り出して、別の乾いたキッチンペーパーで押さえるように水分を除く。
(4)敷いていたキッチンペーパーを新しいものに替え、もう一度野菜を並べる。
(5)ラップをしないでさらに電子レンジ600Wで2分加熱する。
(6)バットやお盆にクッキングシートを敷き、(5)を並べてカラカラになるまで室内に干す。
(7)1~2日ほど干すとできあがる。干す時間をさらに短縮したい場合は、天日に当ててもよい。
戻し方
あえ物などに使うときは、ポリ袋に入れて水(干し野菜10gに対して50mlほどが目安)を注ぎ、空気を抜いて口をしばり、電子レンジ600Wで1分加熱する。取り出して5分おく。電子レンジを使わないで戻す場合は手で軽くもんでそのまましばらくおく。
戻った状態。戻し汁も調理にいっしょに使うのがおすすめ。
●野菜の切り方:根菜は薄めの輪切りや斜め切りに。にんじんだけは細切りにする。葉物は、茎も葉も3cm長さに切る。
●保存容器やビニール袋に入れ、光や高温多湿、虫などを避けるために冷蔵庫で保存。あれば乾燥剤を入れるとよい。
●冷蔵で6カ月、冷凍で1年保存可能。
●戻して使ってもよいし、煮物などは戻さずに加えてOK 。
※保存期間は目安です。保存状態などにより異なる場合もありますのでご注意ください。
レンチンで干す時間を短縮
野菜はビタミンやミネラル、食物繊維、そして、生活習慣病を改善する機能をもつファイトケミカルまで、私たちの健康を多様な天然の成分で支えてくれます。
健康維持にはたんぱく質や炭水化物ももちろん必要ですが、それらが体の中でしっかりと機能するには野菜の力が必要不可欠です。
野菜を干すと水溶性ビタミンC、B1、B2、B6、葉酸などは減少し、ゼロに近くなります。
一方、脂溶性のビタミンA、D、E、K(かぶや大根の葉、春菊、小松菜、ほうれん草などに多い)は濃縮された形で残ります。
もちろん食物繊維も。
干し野菜は生より量をたくさん食べられるのもメリットです。
電子レンジでレンチンして水分を抜いてから干すと、自然乾燥だと1週間ほどかかる乾燥時間を、大幅に省くことができます。
さらには酵素の働きを止めるので、自然乾燥させたときよりも色がキレイなままでできあがります。
取材・文/石井美佐 撮影/スタジオCOM(中野正景)