総理大臣、選挙、憲法改正など話題の尽きない日本の政治。とはいえ、話が大きすぎてよく分からないという人も少なくないでしょう。そこで、カリスマ塾講師・馬屋原吉博さんの著書『今さら聞けない 政治のキホンが2時間で全部頭に入る』(すばる舎)から、「わかりやすい政治用語の基本」の一部を抜粋してお届け。基本を知ると、今の世の中がよくわかります。
政治家になる第一条件は資金力!?
地盤、看板、かばんの「サンバン」
「政治家になりたい!」と思ったら、どうすればいいのでしょうか。
まずは、政治家になるために必要な資格を確認してみましょう。
国籍については「日本国民」であればいいため、外国人であっても帰化して日本国籍を取得すれば、立候補することが可能です。
年齢については、「参議院議員」と「都道府県知事」に関しては「満30歳以上」、それ以外は原則として「満25歳以上」であることが条件となっています。
もちろん、この条件を満たしただけで政治家になれるわけではありません。
政治家になるには、選挙に立候補し、多くの有権者に投票してもらう必要があります。
そのために必要になるのが「サンバン」、すなわち、「地盤(支持者)」「看板(知名度)」、そして「かばん(資金力)」です。
法務局に預ける供託金で最大600万円
「選挙にはお金がかかる」とよく言われます。
まず、立候補するためには一定額の「供託金」を法務局に預けなければなりません。
一定の条件を満たせば返ってくるとはいえ、数十万円から最大600万円が必要となります(町村議会議員の選挙のみ供託金なし)。
そのほか、選挙運動に携わる人々に支払う人件費、選挙事務所や広告にかかる費用などを足すと、一般的な地方議会議員選挙でも数百万円、国政選挙になると数千万円ものお金が必要になることが多いようです。
選挙運動にかかる費用には上限が定められており、もっとも高いのが参議院の比例代表選挙の5200万円です。
さすがにこれだけかける人は多くはないようですが、それでも政治家になるためには、かなりの資金力が求められるのはたしかなようです。
「マニフェスト」=数値に裏づけられた政権公約
マニフェスト?公約?
選挙の際、政党や候補者が「自分を当選させてくれたら、こんな政策を実現しますよ!」と、有権者に対して表明する約束のことを「公約」と言います。
この「公約」という言葉に、「どうせ守られないもの」というイメージがついて回るようになっていたこともあり、2000年前後から「マニフェスト」という言葉が用いられるようになりました。
「マニフェスト」とは、政権を取った場合、予算を編成して実現すると約束した政策のことです。
数値目標や財源、期限などにも言及し、事後の検証を可能にした約束、という意味で「公約」と区別して使われるようになりました。
ただ、マニフェストという言葉にも「どうせ守られないもの」というイメージがついてきたためか、近年では、再び公約という言葉を目にすることも多くなりました。
少しでも納得のいく1票を
とはいえ、こういった流れの中で、多くの政党や候補者がホームページに公約を掲載するようになったのは、有権者としては歓迎すべきことです。
過去の選挙の際の公約を、引き続き見られる状態にしてある政党も少なくありません。
守られない公約が多いことを理由に、選挙に行ってもムダだと感じる人も少なくないようですが、投票しない人には政治を批判する資格もありません。
自分で各党の公約を比較するのが大変であれば、マスコミ各社などが作る各党の公約の比較表に目を通すという手もあります。
有権者には、少しでも納得のいく1票を投じ続けることで、自由や権利を守るための「不断の努力」を重ねていくことが求められています。
全8章にわたってカリスマ塾講師が政治に関するさまざまな用語をわかりやすい図解で解説しています