総理大臣、選挙、憲法改正など話題の尽きない日本の政治。とはいえ、話が大きすぎてよく分からないという人も少なくないでしょう。そこで、カリスマ塾講師・馬屋原吉博さんの著書『今さら聞けない 政治のキホンが2時間で全部頭に入る』(すばる舎)から、「わかりやすい政治用語の基本」の一部を抜粋してお届け。基本を知ると、今の世の中がよくわかります。
総理大臣は毎日何をして、どこにいるのか
首相官邸が毎日動向を発表
総理大臣の動向は、各新聞の「首相動静」「首相の一日」といった欄や、首相官邸のホームページで常に確認することができます。
ちなみに「首相」とは総理大臣の通称です。
総理大臣は、内閣のリーダーとして国務大臣を任命し、毎週、火曜と金曜の午前中には閣議を開催します。
総理大臣や国務大臣は、国会に出席を求められた際は応じなければなりません。
国会会期中は、原則として、火・木・金の午後に衆議院本会議が、月・水・金の午前中に参議院本会議が開かれています。
もちろん、本会議だけでなく委員会への出席が求められることもありますし、通常国会の冒頭では「施政方針演説」、臨時国会の冒頭では「所信表明演説」をすることにもなっています。
自衛隊の最高指揮監督権もある
サミットや国連総会への参加、外国の要人との会談といった外交、有事の際に日本を守るのも非常に重要な役割です。
日本において、自衛隊の最高指揮監督権を有するのは総理大臣です。
このほかにも、日々、様々な人物とコミュニケーションをとり、日本の政治について思索を巡らせながら、自身が所属する党をまとめ、皇室の儀式に参列し、各界の著名人の訪問を受け、他党の代表と党首会談を行い、事故・災害現場を視察し......と、非常に多忙な日々を送っているのが、日本の総理大臣です。
国会に選ばれる総理、国民に選ばれる大統領
アメリカ大統領の選び方
日本の内閣総理大臣とアメリカの大統領は、どちらも「行政府」の長ですが、その選び方には大きな違いがあります。
日本の内閣総理大臣が国会によって指名されるのに対し、アメリカの大統領は、国民によって州ごとに選ばれた「選挙人」が、それぞれ支持する大統領候補に投票する形で選出されます。
間に選挙人を挟むとはいえ、選挙人は、国民に選ばれる前に自分がどの候補に投票するかを明言しているため、アメリカの大統領は実質、国民によって選ばれていると言えます。
「大統領令」の拘束力は法律レベル
日本の行政権はあくまで内閣に属するのに対し、アメリカの行政権は大統領個人に属します。
アメリカ大統領は、立法府である連邦議会の議決に対して「拒否権」を行使することができますが、これは日本の総理には認められていない権利です。
また、日本の内閣が作る「政令」が、あくまで法律を補助するものでしかないのに対し、アメリカ大統領が出す「大統領令」は、法律に近いレベルの力を持っています。
しかし、アメリカ大統領は、日本の内閣のように、法案を直接議会に提出することはできません。
このように、国民に選ばれ、議員との兼職も禁止されているアメリカ大統領と、国会議員の中から国会によって指名される日本の総理では、与えられた権限も大きく異なっています。
《日本の内閣総理大臣とアメリカ大統領の違い》
日本の内閣総理大臣
選び方:国会議員の中から国会が指名する
行政権の帰属:行政権は内閣に属する(総理は内閣の長)
国家の代表:国家の代表でもあるが別に天皇も存在する
不信任:議会に不信任されることがある
解散権:衆議院の解散権を持つ
法案提出権:内閣として国会に法案を提出できる
拒否権:国会に対する拒否権はない
アメリカの大統領
選び方:国民によって選ばれる(議員との兼職は禁止)
行政権の帰属:行政権は大統領個人に属する
国家の代表:国家元首として国家を代表する
不信任:議会に不信任されることはない
解散権:議会を解散することはできない
法案提出権:法案の提出権はない(「教書」で意見を伝える)
拒否権:議会に対する拒否権を持つ(議会は上院と下院の3分の2以上の賛成で再可決できる)
全8章にわたってカリスマ塾講師が政治に関するさまざまな用語をわかりやすい図解で解説しています