日本人にとって、最も身近な宗教である仏教ですが「葬祭時のマナーは心もとない...」という人も多いのでは? そこで、仏教関連の著書を数多く執筆する長田幸康さんの著書「これだけは知っておきたい はじめての仏教」から、「お布施の相場」や「墓じまい」また「仏教の歴史」など「これだけは知っておきたい知識」をご紹介します。
【吉祥天と鬼子母神】
本当は怖い!? 「子どもの守り神」
「天」として仏教に取り入れられたインドの神々の中には女神も多い。
「吉祥天(きちじょうてん)」( 功徳天-くどくてん)は、ヒンドゥー教の女神ラクシュミに由来する。
三大主神のひとりヴィシュヌの妃であり、インドでは美や幸運、富の象徴として信仰を集めている。
日本における吉祥天は、中国の唐代の貴婦人のいでたちをしている。
左手に如意(にょい)宝珠を携え、右手は願いごとをかなえる与願印を結ぶ。
毘沙門天の妻、鬼子母神の娘とされる。
その「鬼子母神」はインド名を「ハーリティー」という。
日蓮宗では『法華経』の守護神とされている。
鬼子母神は今でこそ安産や子育ての神さまとして慕われているが、もともとは恐れられていた。
五百人とも千人ともいわれる子をもつ母でありながら、他人の子どもをさらって食べてしまう鬼神だったからだ。
見かねたお釈迦さまは、彼女がもっとも愛していた末子を隠してしまった。
子を失う母の苦しみを知った鬼子母神は、お釈迦さまの教えに従って改心し、仏教を守護する神となった。
鬼子母神といえば、子どもを抱き、右手にザクロの実を携えて微笑えむ姿で知られている。
種がぎっしり詰まったザクロは「吉祥果」とも呼ばれ、洋の東西を問わず子孫繁栄の象徴だ。
俗に、子どもの肉の味が忘れられない鬼子母神が、味の似ている(?)ザクロをお釈迦さまに勧められ食べているとも言われている。
吉祥天と鬼子母神
吉祥天:インド名=ラクシュミ
美・幸運・富の象徴
鬼子母神:インド名=ハーリティー
『法華経』の守護神 安産・子育ての神
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