日本人にとって、最も身近な宗教である仏教ですが「葬祭時のマナーは心もとない...」という人も多いのでは? そこで、仏教関連の著書を数多く執筆する長田幸康さんの著書「これだけは知っておきたい はじめての仏教」から、「お布施の相場」や「墓じまい」また「仏教の歴史」など「これだけは知っておきたい知識」をご紹介します。
【お布施】
「定価」がないなら「相場」を知りたい
お坊さんとの関係において、悩ましいのは「お布施」ではないだろうか。
ただでさえ心穏やかではない葬儀などの際、お金のことで心を乱されては、お坊さんやお寺に対する印象がよくなろうはずがない。
そもそも、お布施とは慈悲の心をもって財物を施すこと。
悟りに至るために実践すべき「六波羅蜜(ろくはらみつ)」のひとつにあげられている。
サンスクリット語では「ダーナ」。
転じて「旦那」の語源ともなった。
英語の「donation」(寄付)の語源も同じである。
もっとも身近なお布施は、お寺参りに行ったときのお賽銭だ。
小銭と相場が決まっているから気が楽だ。
しかし、葬儀や法要の際のお布施は額も大きい。
しかもお坊さんに直接渡すものだ。
「少ないな」という印象が、その後のおつきあいに影響するかもしれない。
お坊さんの立場でいえば、お経を誦むのは商行為ではなく、お布施は何かの対価ではない。
「お気持ち」で施していただくものだから、決まった額などありえない。
一方、お布施をする立場でいえば、「お気持ち」を金銭に換算するのは難しい。
だいたいの相場ぐらいはあるはずだ。
この心理戦はいつまで続くのだろうか。
ただ近年では、葬儀や法要に定価を設けるお寺やサービスも増え、人気を呼んでいる。
明朗会計を求める「消費者」のニーズを見事にとらえているということだろう。
お布施の相場
葬儀のお布施の目安は......?=約47万円
(日本消費者協会「第11回葬儀についてのアンケート調査」より)
※ただし、地域や宗派によって異なり、上記は参考値
僧侶派遣サービス会社などで多く見られる参考値
院居士・院大姉:20万円
院釋・院釋尼:16万円
居士・大姉 院信士・院信女:6万円
信士・信女 釋・釋尼:2万円
※ただし上記の参考値は戒名の授戒にあたっての目安。通夜・葬儀などの読経や初七日法要などは別途の場合もある。菩提寺がある場合にはお寺に直接聞くのがベスト。葬儀社を通す場合は葬儀社の担当者に確認しよう。
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