寝て食べて、あまり動かずにまた寝ちゃって...そんな生活で太ってしまった40代、50代の皆さん! 自宅で「なまった体を再生する」トレーニング方法を、理学療法士・横山政和さんが教えてくれました。トレーニングは量ではなく、「体に対しての効果」をしっかり見ながらやることが大切。無理なく、体を再生していきましょう。
筋肉が減ることで太りやすくなります!
こんにちは! 理学療法士の横山政和です。
筋肉は体を動かす事はもちろんですが、体温生成に役割があることをご存知でしょうか。
人は立ったり座ったり、歩いたり体を動かす為にはエネルギーが必要である事は、皆さんがご存知だと思います。
しかし、人は実際に体を大きく動かさなくとも、心臓や脳が働く為はもちろん、呼吸をする事、体温を維持する事など、生命を維持する為にもエネルギーが必要となります。
この生命維持に最低限必要なエネルギー消費を「基礎代謝」と言います。
筋肉による代謝量(エネルギー消費量)は安静時の代謝量の中でも比較的大きい22%を占め、体温維持に貢献していると言われています。
そして筋肉量が減ると、体温を維持する為に、筋肉が減ったスペースに脂肪が溜まり体温を維持する事になるとも言われています。
この自粛期間で「太った」という声をよく耳にしますが、恐らく大半が動かないことによる筋肉の低下、代謝が落ちたことによるものだと思います。
そこで今回ご紹介するのは、筋力・筋肉をつける事をメインに下半身、上半身、体幹、腹筋の大きい筋肉に対するトレーニングプログラムです。
なまってしまった体も、きっちり毎日トレーニングを適切に実施する事により、10日くらいで体に変化が起きてくるはずです。
この変化とは、見た目の変化というよりも、トレーニング初日と比較し、「あれ?初日よりも疲れない!」とか「初日よりも安定して出来る!」と感じる変化です。
実際に体の見た目上の変化は、これ以降になるでしょう。
まずは、動ける体に復活する事を目指し、自分のペースに合わせて実践してみてください。
■上半身強化の「腕立て伏せ」(10回×3セット)
トレーニングの王道・腕立て伏せ。
難易度に合わせて3パターンご紹介するので、自分に合ったもので実践してみてください。
【難易度①】壁腕立て伏せ
腰や足が痛い人には、立ったまま壁を使う腕立てがおすすめです。
壁に向き合い、腕を壁に。
手は内側に入らないように意識してください。
足は閉じた方が効果的です。
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脇をしめて、上半身を壁に近づけます。
腕の力だけに頼らず、背中から壁に近づけるよう意識してみてください。
【難易度②】膝立ち腕立て伏せ
腰が痛い人などはこれがおすすめです。
膝をつきます。
腕は肩幅程度に開きます。
この動作ではお尻が上がらないように意識してください。
肘を伸ばしすぎると痛めるので、少しゆるんでいるくらいでOKです。
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腕を下げる時は、脇をしめるようにしてください。
これも腕の力だけでなく、背中から落とすイメージで。
深く落とすことも大事ですが、お尻が下がった状態で上半身全部の体重をかけ落とすことが大切です。
【難易度③】腕立て伏せ
通常の腕立て伏せです。難易度①から徐々にやってみることをおすすめします。
手は肩幅くらいに開きます。
肘は膝立ち腕立て伏せ同様で、伸ばしすぎると痛めてしまう危険があるので少しゆるめてください。
この時点で全体重が腕にかかっていれば正解です。
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脇をしめながら、上半身全部で落ちるイメージです。
お尻が上がらないことを意識しましょう。
■体幹を鍛える「袋引き上げローイング」(10回×3セット)
やや前屈みの姿勢を保ちながら、重さのある袋を胸に向かって引き上げる運動です。
引き上げる動作が体全体にきいてくるトレーニングです。
袋の中に入れるものを重くすることで負荷を変えられるので、自宅でやりやすいトレーニングだと思います。
少し前屈の状態で腕の力を抜いて袋を下げます。
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背中が丸くならないよう注意してください。
上半身は「一本の棒」だと意識しながら動かします。
袋を持ち上げたくなりますが、背中の肩甲骨を閉じるイメージで、袋を胸に近づけます。
後ろから見ると、肩甲骨が寄せられているのがわかります。
■腹筋を鍛える「プランク」(20秒×3セット)
腕立て伏せの最初のポーズを維持する運動です。
お尻が上がらないよう意識してください。
数秒経過すると、腕がプルプルしてきますが、ここを耐えると腹筋に効いてくるのがわかります。
これも毎日、徐々に秒数を長くしていくと、最終的に何秒もこのポーズを維持できるようになります。
■下半身強化の「ブルガリアンスクワット」(左右各10回×3セット)
[スクワット]と聞くとかなり負荷のある動きのように思えますが、深く下げることよりもお尻を落とすイメージで、足の指の付け根よりも膝が前に出ないように頑張ってみましょう。
① 片足を後ろのイスの上に置く
背中が丸まらないよう、まっすぐを意識して立ちます。
足を乗せる台と支持脚の踵の間の距離は、足のサイズ3つ分くらいの距離を意識して開いてみましょう。
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② 前の足(支持脚)の膝を曲げる
前の足(支持脚)のつま先より前に出てはいけないので、気をつけましょう。
上半身を前に傾け、お尻を斜め後ろに下げるイメージでやると、膝が前に出づらいです。
重心は床に着いている足がメインで、イメージは「70(床の足):30(台に乗っている足)」。
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③ 体を起こす
①の姿勢に戻ります。
この時、膝をまっすぐ伸ばそうとすると膝を痛めてしまうので、お尻を動かしているイメージで動作してみてください。
左右の足を入れ替えます。
どのトレーニングも負荷の調整ができるので、無理なく、毎日続けられる方法でやってみてください。
筋肉は一日ではどうにもなりませんが、動かすことで必ず形成されていくものなので、あきらめずに楽しくやってみてください。
特に音楽を聞きながらやってみると、苦しさがまぎれるのでおすすめです。
取材・文/栗山春香