なかなか家で集中して仕事ができなかった人も、この自粛期間でだいぶ在宅ワークに慣れてきた頃ですね。自宅でのデスクワークは、オフィスにいるよりも移動などがない分、座りっぱなしになっていませんか。「座る時間が増えることにより、股関節の前の筋肉が伸びる機会が減って腰痛の原因になるかもしれません」と、理学療法士・横山政和さん。自宅で簡単にできる2つのトレーニングで「脱在宅ワーク後遺症」を目指しましょう!
股関節の前の筋肉の伸張性低下は、腰痛の原因の一つ
こんにちは! 理学療法士の横山政和です。
在宅ワーク、通勤時間が省略できている分、時間を有効活用できるという考えもありますが、自宅が働く環境として整っている人は実は少ないのではないでしょうか。
例えばイスや机は、オフィス仕様のものと、家庭で使うものでは性能が異なります。
デスクワークをするのに、家庭用のイスや机では負担が大きくなる可能性も。
特に長時間、座っていると、股関節屈筋群(股関節の前の筋肉)の伸張性低下が懸念されます。
これは座っている時間が長い事により、股関節の前の筋肉が伸びる機会が減ってしまうからです。
股関節の前の筋肉の伸張性低下は、腰痛の原因の一つでもあります。
特に40代・50代は若い頃よりも全体的に筋力が低下している方が多く、腰痛を起こしやすい状態にある事に加え、若い頃と比較し筋肉が硬くなっている方が多いため、この筋肉のストレッチも重要となります。この筋肉のストレッチが重要なのです。
知らない間に腰痛になっている人、ぜひ実践してみてください。
トレーニングは2種、デスクワークで体が負担を感じた時にやってみましょう。
1.下半身にじわじわ来る「大股スイング」
(午前・午後、各左右10回)
名前の通り、下肢を大きく動かす運動です。
腰が痛い人、膝が痛い人は大きく開く必要はないので、できる範囲でゆっくりやってみましょう。
なおこのトレーニングは、自粛期間内で衰えてしまった筋肉の強化にもなるのでおすすめです。
① 姿勢よく最初の位置に
背中が丸くならないよう意識します
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② 大きく一歩出す
出す方の足はかかとから着地させるイメージで。
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③ 膝を90度まで曲げる(背中はまっすぐ)
出している足と反対の手を出している足の大腿部に、その反対の手は臀部に触れると体勢がキープしやすいです。
上半身がすこし前傾になると、支えている方の足の臀部から太ももが伸びて気持ちいいです。
このポーズで一度止まって、姿勢など確認するようにしましょう。
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④ 出した足を戻す
③で出した右足を戻します。思いっきり戻すので、最初の直立の姿勢ではなく、支えていた左足より後ろに戻すことを意識しましょう。
2.片足を後ろの台に乗せた状態での「ブルガリアンスクワット」
(左右各10回×3セット)
[スクワット]と聞くとかなり負荷のある動きのように思えますが、深く下げることよりもお尻を落とすイメージで、足の指の付け根よりも膝が前に出ないように頑張ってみましょう。
① 片足を後ろのイスの上に置く
背中が丸まらないよう、まっすぐを意識して立ちます。
足を乗せる台と支持脚の踵の間の距離は、足のサイズ3つ分くらいの距離を意識して開いてみましょう。
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② 前の足(支持脚)の膝を曲げる
前の足(支持脚)のつま先より前に出てはいけないので、気をつけましょう。
上半身を前に傾け、お尻を斜め後ろに下げるイメージでやると、膝が前に出づらいです。
重心は床に着いている足がメインで、イメージは「70(床の足):30(台に乗っている足)」。
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③ 体を起こす
①の姿勢に戻ります。
この時、膝をまっすぐ伸ばそうとすると膝を痛めてしまうので、お尻を動かしているイメージで動作してみてください。
左右の足を入れ替えます。
紹介した2つの動きは、トレーニングすることより、一つ一つの動作を正しく行う必要があります。
なので、一つ一つ、動きを止めて、姿勢を確認しながら、そして無理をすることなくやってみてください。
腰痛は放っておくと悪化します。
本当に痛い場合は病院に行くことがおすすめですが、予防は自分でできるので、毎日、少しずつ実践してみてください。
取材・文/栗山春香