冷蔵庫の前で今日の献立を考えてたら「食材の奴隷」になってるかも・・・今こそ見直したい「食べる」ということ

暮らしの中の断捨離を提唱するやましたひでこさんは、著書『家事の断捨離』(大和書房)で、家事の常識を断捨離することこそが大切だと言います。モノを減らせば、家事も減る。やました流「家事に追われなくなる秘訣」を連載形式でお届けします。

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食べたいもの、食べていますか?

「安全な自然食材」を取り寄せている友人がいます。

彼女いわく、食材はいつも使い切れずにあまらせてしまうのだとか。

いつの間にか「あまらせないように使いこなさなきゃ」という思考になっていて、結局取り寄せをやめたそうです。

食べたいものに合わせて食材があるのではなく、食材に合わせて食べるものを「なんとかしなきゃ」となっている。

発想が逆転しています。

食べ物の奴隷になっているんですね。

食材の奴隷、つまりモノの奴隷です。

安売りしているから多めに買っておこう。

卵がなくなったら卵を買おう。

(そして、冷蔵庫の中を見まわして)あの食材とあの食材があるからあの料理をつくろう。

この食材はそろそろ古くなるから早めに使ってしまおう。

料理が「食材軸」になっているのにお気づきでしょう。

「食べる」というのは、基本的な欲求です。

たとえ食材が安心安全、栄養的に優れていても、自分の欲求を無視すると「ミスマッチ」が起こります。

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©福々ちえ
「安売りしてたからつい買いすぎちゃった......」。食欲がそそられない食材がたくさん。こういう食材ほど「循環」が難しく、冷蔵庫パンパン→二重買い→使い残しの罠にはまりやすいのです。

基本に立ち返りましょう。

私たちの三大欲求は、食欲、睡眠欲、排泄欲(性欲も含めて)ですね。

これらは生存に関わる生存欲です。

これに対して、社会的ニーズというものがあります。

なかでも排泄は場が制限されています。

私たちはそこで垂れ流すわけにはいきません。

「はい、トイレ休憩」となっているから人間には便秘がある。

一方、動物は「その場がトイレ」だから便秘がない。

食欲にも当てはまります。

食欲がないのに、食べている。

食べたくない場で、食べたくない時間に。

「お昼だから」と食べている。

社会がそれを強いているのです。

これで健康を損なうことすらあります。

私たちは基本的な「欲求」に耳を傾けることをしていかなければなりません。

せめて家にいるときく

出したいときにはすぐ出し、寝たいときには寝る。

家族がいるとそういうわけにもいかない、と言われるかもしれません。

それでも、家というパーソナルな空間では、食べる自由、食べない自由があると心得ておきたいものです。

「12時ランチ」でなくてもかまわない

あまり大きな声では言えないけれど、私は家では食べない日もあります。

「1週間のうち、2日だけ断食」という本がありますが、私は1日の中で、食と食の間隔を空けています。

夜、会食があるときは、バランスをとって、家では適当に。

卵かけごはんを食べたり、酵素ジュースを飲んだり。

まったく食べないこともあります。

そのぶん夜は飲めや歌えや!なあんてことはないけれど、いつもいつもきっちりしている必要はありません。

むしろ、「きっちりやらなくてもいい」と強調したい。

きっちりやることで冷蔵庫がぎっしりになったら面倒ですからね。

今、「丁寧に暮らす」のが流行りです。

丁寧に空間を整え、丁寧に食事をする。

それじたいはすばらしいこと。

でもそれは、何に対しての「丁寧」でしょうか。

人の目や世間の常識に対しての「丁寧」であって、自分に対しての「丁寧」ではないかもしれません。

私たちは、体からの欲求があり、心の欲求があります。

こうした自分のニーズに対して、素直であること。

これこそが「丁寧」です。

そして、自分のニーズに対するセンサーを磨いておくことが大事。

ピカピカのセンサーなのか、錆びたセンサーなのか。

今、あなたが食べたいものは何ですか?

私が食のセンサーをどう磨いているかというと、「ファスティング」です。

「断食」という意味ですが、本来の本格的な断食ではなく、自分なりの解釈で実践しています。

「3食きちんと食べる」を断捨離しているともいえます。

「食べないと元気が出ない」と思い込んでいる人もいます。

でもじつは、疲れているのは胃腸です。

胃腸はメンタルの影響を大きく受けやすい場所。

ストレスの具合で、胃腸の働きはぜんぜんちがいます。

今は栄養不足の時代でもありません。

むしろ栄養過多の時代。

「食べる」ということは、多くの時間とエネルギーを要します。

食材の調達、調理、食事、後片づけまでに時間がかかります。

そして、食べたら眠くなる。

たまには胃腸を休ませることも大事だと思うのです。

「食」とは、とってもパーソナルなもの。

「私はこうしてますよ」という例をあげましたが、そもそも食は人に聞くものではありません。

自分に、自分の身体に聞くもの。

「あなた」にいいから「私」にいい、というものではない。

ましてや今、「私」にそれがよくても、ずっとそれがいいとは限らない。

人間は飽きる動物ですからね。

私が毎日食べても飽きないのが、ごはんです。

玄米も好きだけれど、残念ながら私の身体には合わない。

好き・キライのほかに、合う・合わないがあるのも「食」です。

「12時ランチ」に縛られる必要もないでしょう。

会社の昼休みが12~13時だから仕方がない?

そうかもしれませんが、プライベートな時間では、ぜひ自由に食べたいものです。

概して、朝食と昼食の間は間隔が短く、昼食と夕食の間は間隔が長いですよね。

ランチするなら2時頃がちょうどいいのでは?

お昼を抜いて「1日2食」もアリ。

欧米のラテン諸国のように、シエスタ(昼寝)がある国はうまくまわっているなと思います。

朝ごはん、昼ごはんを食べて、シエスタして、夕方5時頃からバルで飲み始め、夜8時か9時から晩ごはん。

その後に、また飲んで......。

うらやましいほど人生が酔っ払って過ぎていく。

そんな生き方もあるのです。

イラスト/福々ちえ

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108-H1-kazinodanshari.jpg4章にわたって、夜、朝、週末とシーンに合わせたあらゆる家事を軽くする断捨離メソッドが学べます

 

やましたひでこ

東京都出身。早稲田大学文学部卒。学生時代に出逢ったヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」に着想を得た「断捨離」を日常生活の「片づけ」に落とし込み、自己探訪メソッドを構築。初著作『新・片づけ術 断捨離』(マガジンハウス)を刊行以来、著作・監修を含めた多数の「断捨離」関連書籍がアジア、ヨーロッパ諸国でも刊行されている。

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『モノが減ると、家事も減る 家事の断捨離』

(やましたひでこ/大和書房)

「いつかやろうと家事を先延ばしにする」「どうしても部屋が片づかない」あなたに届けたい、「朝・夜・週末」のあらゆる家事の悩みを解決してくれる「断捨離」のメソッド。思い込みを捨てて手間を減らせば、家事はもっと楽しくなります。

※この記事は『モノが減ると、家事も減る 家事の断捨離』(やましたひでこ/大和書房)からの抜粋です。

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