「まとめてやれば一気に片づく」なんて幻想です!やましたひでこさん「こまめ家事」のススメ

暮らしの中の断捨離を提唱するやましたひでこさんは、著書『家事の断捨離』(大和書房)で、家事の常識を断捨離することこそが大切だと言います。モノを減らせば、家事も減る。やました流「家事に追われなくなる秘訣」を連載形式でお届けします。

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「満タン思考」を捨てよう

洗濯物が満タンになってから洗濯機をまわそうと思っていませんか?

ゴミ袋がパンパンになってから口を縛ろうと思っていませんか?

満タンになったら......。

もっとまとまったときに......。

私はこれを「満タン思考」と呼んでいます。

「まとめてやったほうが、なんだか合理的な気がする」のですよね?

でも、本当にそうでしょうか。

合理的とは、手間が省けるということ?

電気代が節約できるということ?

いえ、じつは「満タン思考」や「まとめ家事」は、俯瞰してみるとちっとも合理的ではありません。

そもそも忙しいから「まとめてしよう」と思っているのに、まとまった時間など作れるのかしら?

もし、「まとめてしよう」と思っていた時間に、別の用事が入ってしまったら?

お皿数枚を洗うのだったら、それが多少後まわしになっても「回復」できます。

けれど、「満タン」が一度滞ってしまうと、ワーッとせき止められ、収拾がつかなくなってしまいます。

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ちょっとためると大仕事に。家事は細切れ時間でする小さな仕事。毎日洗濯していればそれが可能ですが、2日3日ためると大仕事に。

「1週間に2回しか洗濯しない」という人がいます。

ひとり暮らしだったら毎日洗濯する必要性を感じていないのかもしれません。

「まとめて洗濯」は一見合理的。

手間は週に2回だけ。

電気代も抑えられます。

でもきっと、洗濯物の汚れは落ちにくくなるでしょう。

そのぶん下着をたくさん持つ必要も出てきます。

1回の洗濯での枚数が多くなるぶん、干したりしまったりする手間と時間とエネルギーはかかります。

ゴミ袋問題もそう。

生ゴミは、時間が経つにつれてイヤなニオイが発生します。

ゴミ袋は1枚数円の世界。

それでニオイがなくなるのなら、私は十分価値があると思うのです。

「満タンになったら捨てる」という刷り込みに従って行動しているのにほかなりません。

「まとめ家事」には、心理的なストレスも加わります。

それは「ウェイティング=待ち時間」があるから。

週に2回の洗濯だったら、その間の2~3日はウェイティングです。

「ああ、汚い服がたまっているなあ......」と、心のどこかで気になっている。

これがストレスを増幅させているのです。

そのとき私たちの心に何が起こっているかというと、

気になる→気に障る→気に病む

というプロセスをたどります。

最初はちょっと気になっていたものが、しまいにはストレスや病気に行きつくのですから、怖いですね。

「作り置き」と「まとめ買い」のリスク

一時ブームになった「作り置き」も、じつは家事を大変にしています。

まとめて料理して冷蔵庫・冷凍庫で保存しておこうとするわけですから、作り置きも「まとめ家事」の1つ。

「作り置きしておいたほうが後でラク」と夢見て、そうしているのでしょうが、実際、作り置きの作業はそれなりに重労働。

時間もかかります。

「朝、5時に起きて、作り置きがんばってます!」というワーキングマザーの方がいます。

本当にがんばっていると思うけれど、がんばっていると言っている時点で、やっぱり苦行ですよね。

「平日働いているから、休日にやっておかなきゃ」と1週間ぶんの作り置きをしている人もいるでしょう。

愉しんでやっているなら問題ありませんが、「ねばならない」でやっていたら、それはストレス。

料理が「作り置き軸」になっています。

作り置きの最大のリスクは、「使い切れない」ことにあります。

なぜなら、人は日々気分が変わるから。

食べたいものも日々刻々と変わります。

食は鮮度がすべて。

冷蔵庫の中で4日、5日と経つうちに食の鮮度は下がり「残り物感」が強くなります。

それを食べたいですか?

作り置きでも半食材、半調理済みで保存するのであれば、アレンジ可能でいいとは思いますが、よほど買い物に不便な環境でもないかぎり、「そのつど買い物」「そのつど調理」がベスト。

これだけ流通の早い時代です。

「まとめ買い」も同じ理由でNGです。

前提として、人はたくさんのモノを管理できません。

冷蔵庫、冷凍庫に食材が所狭しと並んでいるのを、適宜出し入れして最後まで使い切れるでしょうか。

料理の専門家なら、それができるわけです。

「収納」の専門家と同じですね。

「結局、食べ切れずに捨ててしまった」という経験があるなら、作り置きはきっぱりあきらめましょう。

管理できると思っているのがまちがい。

あきらめていいことはあきらめる。

そうしたら、家事は一気に減ります。

家事は「そのつど、そのつど」が基本

夕ごはんをつくる。

小学生の子どもに食べさせる。

片づける。

中学生の子どもが帰ってくる。

その子に食べさせ、片づける。

夫が帰ってくる。

夫に食べさせ、片づける。

そんな光景が、日本中の家庭で繰り広げられています。

家庭の主婦のストレスの原因がまさにこれ。

家族に合わせて時間が細切れにされるストレスです。

自分の時間を30分もとれません。

5分、5分、5分の積み重ねの時間ならあるけれど、連続した時間はない。

そんな生活の中で「まとめ家事」をやろうとしたら、ストレスフルに決まっています。

もともと家事とは、そのつどするもの。

もともと時間とは、細切れになるもの。

家事を担っているかぎりは、「そういうものだ」とまず割りきることが必要です。

「まとめてやれば一気に片づく」なんて幻想。

目についたものを、目についたときに行う。

モノが少ないほど、それを実践しやすくなります。

気になるところをサッと拭けるのです。

何度も言います。

まずモノを減らすこと。

「溺れている人の、モノ減らし」。

たくさんモノがあるから、優先順位をつけられない。

それを5ついっぺんにやろうとするから、大変な作業になる。

優先順位がわかれば、5つを縦に並べて1つずつできるようになります。

まとめてやろうとすると、日々の小さなことが先送りになります。

1回のお皿洗いはたった5枚なのに、ちょっとまとめようとするとシンクが山になっています。

先送りになったものをまとめて解決しようとするから、1つひとつは簡単なことでも、5つ6つ重なることでハードルが高くなっています。

時間も手間も自分の気持ちも。

「まとめ家事」は、そこに立ち向かうハードルが、思いのほか高いのです。

「こまめ家事」のもう1つの長所は、手を貸してもらいやすいこと。

1つひとつの家事仕事は「細切れ」で「小さなこと」ですから、人に依頼しやすいのです。

名づけて、「細切れリクエスト」。

ある受講生さんは、1階で洗濯した物を2階のベランダに干すためにいつも階段で運んでいます。

「2階に上がるついでに、洗濯物を持っていこう」と考えていたところ、通りがかった夫に「持っていってもらえる?」と頼んでみました。

すると、1つ手間が減って、家事ストレスも少し軽減されたとか。

頼まれた側も、具体的な指示があると、すっと動きやすいですね。

料理中に切れてしまったしょうゆを、「帰り道に買ってきて」と1つお願いする。

「細切れリクエスト」は夫婦のコミュニケーションにもつながります。

イラスト/福々ちえ

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108-H1-kazinodanshari.jpg4章にわたって、夜、朝、週末とシーンに合わせたあらゆる家事を軽くする断捨離メソッドが学べます

 

やましたひでこ

東京都出身。早稲田大学文学部卒。学生時代に出逢ったヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」に着想を得た「断捨離」を日常生活の「片づけ」に落とし込み、自己探訪メソッドを構築。初著作『新・片づけ術 断捨離』(マガジンハウス)を刊行以来、著作・監修を含めた多数の「断捨離」関連書籍がアジア、ヨーロッパ諸国でも刊行されている。

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『モノが減ると、家事も減る 家事の断捨離』

(やましたひでこ/大和書房)

「いつかやろうと家事を先延ばしにする」「どうしても部屋が片づかない」あなたに届けたい、「朝・夜・週末」のあらゆる家事の悩みを解決してくれる「断捨離」のメソッド。思い込みを捨てて手間を減らせば、家事はもっと楽しくなります。

※この記事は『モノが減ると、家事も減る 家事の断捨離』(やましたひでこ/大和書房)からの抜粋です。

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