友人や家族と遊んでいても、仕事が気になって楽しめない...休日に、心と体をちゃんと回復できていますか?そんな「毎日忙しい!」と感じるあなたに、精神科医・西多昌規さんの著書『休む技術』(大和書房)から、日常のパフォーマンスが上がる「上手に休むコツ」を連載形式でお届け。きちんと休めば、仕事もプライベートもさらに楽しめるようになります!
「静」だけが休むことではありません
「休む」というと、ぐったり寝そべっている、家でのんびりしているなど、何もしない「無為」をイメージするひとも多いでしょう。一方で、休日は好きなことをして楽しむ「行動」のチャンスでもあります。
このように「休む」は、何もしない静的な側面と、アクティブで動的な側面を併せもっています。自分に合わせてこの2つの面を巧みに使い分けるのが、大人の上手な休み方でしょう。
疲れが溜まっていれば、休息中心の静的な休日を過ごしたい気持ちになるでしょうし、外に出かけて気分転換をしたければ、外出中心の動的な休日を計画します。
週休二日制ならば、土日のどちらかを静的、動的と使い分けているひとが多いのではないでしょうか。たとえ休みが1日でも、午前は静的・午後は動的、あるいは今週は静的ならば来週は動的などと、スケジュール帳を見ながら遊びの予定を入れているかたもいると思います。
ところが、これが平日になると事情が変わってきます。毎日仕事で手一杯で、自分の好きなことをする時間もなければ考える余裕もないという声が聞こえてくるようです。日々の休憩時間をやりくりするのに精一杯という職場も、あるかもしれません。
忙しいと、休憩やカフェで一服など「静的」な要素ばかりを考えがちです。しかし、休みの「動的」な要素を平日のスケジュールの中に少しだけでもいいので入れてみると、日々の気持ちの張りも違ってくる可能性があります。
言われなくても実践している、というひとも少なくないはずです。
「水曜日はゴルフの打ちっ放しに行っている」
「平日の夜、週に1度はヨガに通ってデトックスしている」
「電気製品好きなので、会社帰りに家電量販店に行くのが楽しみ」
習い事やスポーツなど、自分のために使う時間を平日に確保できるひとは、ぜひ、これからもそのペースで過ごしてください。ただ、平日にそんな余裕がないというひとは、小さいことでいいので自分のささやかな「好きなこと」をする時間を、テレビの5分スポットニュースのようにちょっとだけ取り入れてみるのは、いかがでしょうか。
ほっとひと息のメニューを用意しましょう
コマギレ時間にできるささやかな楽しみは、元気のもとになります。まとまった時間でなくてもできることなら、なんでもいいのです。
「食後のデザート」
「ネットサーフィン」
「はやりのゲーム」
ポイントは、やっていてうれしい気持ち、すがすがしい気持ち、満ち足りた気持ちになれること。
他人から見ればくだらないことでもかまいません。あくまで楽しむのは、自分なのですから。ちなみにわたしのささやかな楽しみは、仕事が一段落した夕方に聴く、クラシックやジャズなどの音楽とコーヒーです。
さらに、わずかでもいいので「動的」な要素を含ませることで、生活にアクセントをつけることができます。平日・休日とオン・オフをはっきり分けてしまう方法もありますが、平日の暮らしに少しだけ彩りをつけるというやり方も、ローリスクのわりにハイリターンな方法だと思います。
平日のメリハリは、1週間のモチベーションアップのためにも大いに役立つはずです。なにしろ、週休二日ならば週の分の5、つまり週3分の2以上は、平日なのですから。
科学的根拠と臨床経験を基に、過ごし方や取り方など「休み」について、5章にわたって徹底解説