上手に気遣いしながら、つい「いい人」になって、ツラくなってしまっている人いませんか? そこで、カウンセリング歴25年、8万件を超える臨床経験のカリスマ心理カウンセラーの最新作『「ひとりで頑張る自分」を休ませる本』(大嶋信頼/大和書房)のエッセンスを、連載形式でお届け。脳科学と心理学に基づいた「自分中心」になる生き方で、周囲も自分も輝かせる秘訣をご紹介します。
幸せになるには、「自分中心」になる
自己中心的な人、というと、「傍若無人」「身勝手」「人の気持ちを気にしない」というイメージを持たれているかもしれません。
しかし、実は自己中心的な人とは、自分自身の「快・不快」スイッチが働いている人になります。
多くの人はそれを、自分の利益のために他人を利用する利己主義と勘違いしてしまいます。
「自己中心で生きる」とは、自分自身の「快・不快」スイッチを上手に働かせ、「快」を選択した時は、自動的に周りの人たちとはウインウインの関係にできます。
「快」を選択した時の「自分の幸せ」は、自動的に「みんなの幸せ」になります。
「快」を選択して自分が幸せになればなるほど、周りもどんどん幸せになっていく、という循環が生まれます。
これは、周りの人の幸せを求めていた時には得られなかった感覚です。
周りの人の幸せを求めて「いい人」をやっていると、自分はどんどん不幸になるし、周りも幸せにはなっていない、ということがわかるのですがやめられないのは、「愛」の幻想のせい。
ストレスで帯電した脳が万能感を生み出し、そして「愛」を得られなければ得られないほどストレスが増しますから、万能感で愛の幻想を追い求めずにはいられなくなる。
自己中心的に「快・不快」で生きた時に、この万能感から解放されます。
だから、本当の意味での周りとの「一体感」が得られて、自分の幸せがみんなに伝わってみんなも一緒に幸せになる、という循環ができあがります。
だから、自己中心的なのに人望がある、となるんです。
一方で、人の幸せを追ってしまった場合は、エラーを起こして悩みがどんどん増えて疲弊してしまうので「幸せからはほど遠い」となります。
そんな、幸せじゃない人には人が寄ってこないから「人望が薄い」となってしまうんです。
「いい人」というのは、ただの暗示なんです。
この「いい人」という言葉が、自動的に相手の気持ちを考えて行動してしまう暗示を作り出し、そしていくら「いい人」を演じても報われない、幻想の世界の中に閉じ込めてしまいます。
「いい人」という思い込みを捨てて、この「いい人」が作り出す暗示から抜けてみると、「快・不快で簡単に生きられるようになった!」となるから言葉って不思議なんです。たとえば、子どものころに親から「あんたって人がいいからね」と言われてきた人がいました。
そう言われていると、「いい人」になってはいけないと思えば思うほど逆に「いい人」になって、人の気持ちを考えるのをやめられない、となってしまいます。
なぜなら「いい人」という言葉自体が、暗示に誘導する言葉になっているから。
親がその人の頭に入れた「いい人」の暗示は、もしかしたら親にとって都合がいいものだったりするかもしれません。
結局、親の面倒を文句を言いながらも見てくれる「いい人」でいさせるためかもしれません。
親も子どもの気持ちを考える「いい人」になってしまうため、自分自身の「快・不快」の選択ができずに愛の歪(ゆが)みを生み出してしまいます。
「いい人」をやめる、というよりも、自分自身の「快・不快」を選択することでいつの間にか、長年背負ってきた「いい人」の思い込みを捨て去ることができ、自由に生きられるようになります。
第3章「自己肯定感をジャマする万能感を捨てる」、第6章「『嫌われる』が怖くなくなる」など、「いい人」をやめたくてもやめられない人のための「目からなうろこ」のメソッドで、心が晴れる一冊です