上手に気遣いしながら、つい「いい人」になって、ツラくなってしまっている人いませんか? そこで、カウンセリング歴25年、8万件を超える臨床経験のカリスマ心理カウンセラーの最新作『「ひとりで頑張る自分」を休ませる本』(大嶋信頼/大和書房)のエッセンスを、連載形式でお届け。脳科学と心理学に基づいた「自分中心」になる生き方で、周囲も自分も輝かせる秘訣をご紹介します。
「快・不快」スイッチ、働いていますか?
人に気を遣っているのに「自分だけ浮いている気がする......」と悩んでいる人がたくさんいます。
「みんな楽しそうなのに自分だけ周りから浮いている気がして、『仲間はずれ?』と思ってしまう」
「こんなに気を遣っているのに、どうしてみんな仲間に入れてくれないの?」と、ものすごく惨めな気持ちになってしまうんです。
これには人が、「快・不快」という動物としての本能的な感覚にしたがって生きているかどうか、ということが影響しています。
「楽しいことをやる」「楽しくないことはやらない」とすると、ストレスを感じなくなります。
集団の中にいても「快・不快」の感覚にしたがってその場にいられる人は、ストレスなく「みんなと一緒にいて楽しい!」となります。
ところが「いい人」は周りの人に気を遣ってしまうから、自分自身の「快・不快」で行動を選択できません。
だから、どんどんストレスがたまってしまって「ほかの人は楽しんでいるのに、自分はストレスまみれ」と感じて、自分だけ損している気になるのです。
さらに、「いい人」は、ほかの人たちのように「快・不快」で動いていないので、みんなと一緒に笑っても自分の「快」から出た笑顔でないから、「作り笑顔」になります。それが「嘘くさい」と思われてしまい、「本音を出さない人」と受け止められて、「浮いてしまう」状態ができ上がります。
ある人は習い事の教室で、みんなが「あの芸能人のスキャンダルすごかったよね!」と話しているときに、それに合わせて「本当にすごかったね!」と話に入っていこうとするのですが、いざ会話に混ざると話が止まってしまって続かない、と悩んでいました。
「私、なんかおかしなこと言った?」と不安になって思い返してみるのですが、どんなに考えても話を合わせただけで何も悪いことはしていません。
また、「大丈夫?」「調子がよさそうね!」と周りに声をかけていても、いつの間にか一人ぼっちになっていて「あれ?みんなが終了後に行っているお茶会に声をかけてもらえない」なんていうこともあり、寂しさが増すばかり。
「なんでこんなに気を遣っているのに、いつも自分だけ浮いてしまうのだろう?」と悲しくなってしまうんです。
この人も、「話し方が悪いのかな?」「それとも話題の振り方なのかな?」と自分でも変えてみるのですが、相手に合わせれば合わせるほど、周りが変な雰囲気になって場の空気が白けてしまうんです。
これは、「いい人」を演じるばかりで、相手の「快・不快」で動いているから。
自分の「快・不快」で動いたり話題に入ったりしない限り、本心に嘘をついているのが伝わってしまい、「あの人だけ私たちと違う」と認識されてしまって、浮いてしまうのです。
いい年のおじさんが、女子高生が話をしているところに入ってきて「それわかる?!」と言ってみたところで、「気持ち悪い!」と言われてしまうのと同じです。
本心から「それわかる!」と言っているのだったら「このおじさんも仲間でしょ!」と女子高生に認識してもらえますが、「女子高生に気に入ってもらうため」だとしたら「気持ち悪い!」となってしまうのは当然です。その人自身の「快・不快」で動いていないことが、相手にしっかりと伝わってしまうからです。
この場合、自分の「快・不快」にしたがって「お!それわかる!」という「快」のポイントだけ反応して「不快」な時には反応しなくしてみましょう。
すると、「仲間だ!」と周りのみんなが認識してくれるようになり、「浮いている」ということはなくなります。
でも、「いい人」はそれが非常に難しくて、どうしても人の「快・不快」を考えてそれに合わせてしまいます。
そして、浮いている感じがしてしまって、みんなから見捨てられないように、さらに「いい人をやめられない」となってしまうんです。
確かに、人に気を遣っている間は浮いている感じがしながらも、集団に属している気になります。実際に気を遣うことをやめたら「周りに誰もいなくなった」となってしまうことを恐れて「いい人をやめられない」となるわけです。
ただし、それは「快・不快」のスイッチが鈍っているだけです。
長年、自分の「快・不快」スイッチを使っていないので、コツをつかむのにちょっと時間がかかるかもしれませんが、それができるようになると「これが普通の人の感覚なんだ」と感動するでしょう。
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