「なんとなくやる気が出ない...」そんな日はだいたいのことがうまくいかず、さらに憂鬱になる、なんてことも少なくありません。そんな悪い気持ちの流れを解消できるのが、30代で病身の夫に代わりビジネスで大きな成功を収めた臼井由妃さんの著書『元気の作法』(方丈社)に散りばめられたヒントの数々。今回は同書から、いつでも簡単に元気が出るようになる習慣づくりのコツをお届けします。
大切に思うこそ離れる
「元気をもらいに○○さんに、会いにいく」
「元気になってもらえたらうれしい」
こんな言葉をよく耳にしますが、気心が知れた人であっても、お互いが会いたいと願う絶妙なタイミングでない限り、自己満足に終わります。
元気をもらったり、元気を与えたりは、基本的にできないと考えておいたほうがいいのです。
ましてや、初対面の憧れの人から元気がもらえると考えるのは幻想。
元気はあくまで自分でつくり、自分で感じるもの。
人に委ねるものではありません。
嫌なことや困ったことが起こると、「ちょっと元気が出なくて」「何だかやる気がわかないの」と、メールや電話をしてきたり、いきなり訪ねてくる人がいませんか?
おそらくその人は、「友だちなんだから愚痴の一つも聞いてくれるはず」「あなたは負担に感じないはず。だって私たちは友だちなのだから」と考えているのでしょう。
その人が実際に自分にとって大切な人であったとしても、正直を言って迷惑な話ですよね。
もし私がそんな場面に遭遇したら、
「友だちをいいことに、これぐらいしてくれて当然と思っている人なんだ」と感じるだろうと思います。
そして、その後の付き合い方を変えるでしょう。
「何か困ったことがあったら、いつでも相談にのるって言ってくれていたし......」
そんな声が聞こえてきそうですが、「いつでも相談にのる」とか、「遠慮なく言ってくれ」という言葉の9割は社交辞令だと捉えたほうが、人間関係はうまくいきます。
相手に負担をかけず、あなたの人間性も疑われずにすみます。
相手にアクションを起こすときには、想像力を膨らませて、「大切な人は、今どんな気持ちでいるのかな?」「大切な人は、今何をしているのかな?」と、相手の心と行動に思いを馳はせましょう。
それからどうするか決めても遅くはないはずです。
さらに気を配りたいのが、あなたにとってうれしいニュースを伝えたいと思うときです。
自分はハイテンション、幸せ指数マックスかもしれませんが、相手はそれを素直に喜べない状況かもしれません。
「この喜びをファンと分かち合いたい」
そんな著名人の声は多々ありますが、それは不特定多数のファンへの感謝であって、本当の意味での「分かち合い」ではないと私は受け止めています。
私たちは個々を大切に、相手を尊重して生きていく。
大切な人には、よりその気持ちを示す。
大切な人だからこそ、離れるときがあってもいいのです。
新型コロナウイルスの感染拡大時には、
「あなたとあなたの大切な人の命を守るために、ステイ・ホーム」
「人との接触は8割減らす」
連日、報道されていましたよね。
そのときを思い出してください。
会えない、会わないからといって、大切な人は離れていったでしょうか?
そんなことはないですよね。
それまで私自身、大切な人の心と健康にまで気を配り、コミュニュケーションをはかったことはありませんでした。
「相手のスケジュールや仕事の環境を配慮して、電話やメールでやりとりをする」「会うのは、やり取りが盛り上がったときに、制限時間を決めて」......。
そう気を配っていたつもりでも、本当のところはできていなかったのです。
「新刊が総合ランキング1位になった」なんて、出版業界とは無関係な大切な人に嬉々としながら電話をしたこともありました。
私の電話を受けたほうは、きっとテンションの高い私を傷つけまいと、無理やり話を合わせて「やったじゃない! さすが!」と言ってくれていたのだと思うのです。
緊急事態宣言下のコミュニュケーションを経験してきた私たちには、「大切だと思うからこそ離れる」という知恵を獲得しました。
この経験を忘れることなく、お互いの心身の元気を維持するために、人間関係を円満にするために、獲得した知恵を活かしていきましょう。
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