<この体験記を書いた人>
ペンネーム:やまと
性別:女
年齢:40
プロフィール:50歳の夫と二人暮らしの主婦です。
2年前、マンションの隣の部屋に、40代くらいのご夫婦が引っ越してきました。
引越しの挨拶にいらしたのですが、とても感じの良い方でした。
「これからリフォームが始まるのでうるさくなると思いますが、申し訳ございません。よろしくお願いいたします」
とても申し訳なさそうに菓子折を渡してくれましたが、何と私の大好きなお店のギフトセット。
ラッキー! と思い、早速その晩に夫と美味しくいただきました。
ところが...次の週末の朝。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポピンポピンポーン!
けたたましいチャイムの連打で目が覚めました。
時計を見ると朝の6時。
休日の朝なのに何が起きたんだかとびっくりし、夫とふたりで恐る恐るインターフォンを見てみました。見ると、作業着姿の知らない中年男性が映っています。
「どちら様でしょうか」
「今日から隣のリフォーム工事を始める者です。近隣住民のサインをもらわないと工事ができないと言われたので、サインお願いしまーす」
夫と唖然としてしまいました。
サインが必要なだけだったら、事前に郵便受けに投函するなどもっとやり方があったはずです。
工事が始まるその日の朝になって、しかも休日の早朝にそれだけのことで起こされるなんて納得がいきません。
サインはしましたが、普段は大らかな夫も納得がいかない様子です。
「今朝の6時ですよ、ちょっと早すぎるのではないでしょうか」
「すみませーん、でも事前にもらわないとダメって言われたんですよ」
夫の苦言にもその男性は悪びれた様子もなくた、サインを手にそそくさと立ち去っていきました。
思いっきり朝寝坊したかった休日の朝早くに起こされ、釈然とせずに二度寝もできないまま「さっきのは何だったんだろうね」などと愚痴を言いながら朝ごはんを食べました。
隣の人に言おうかとも思いましたが、引っ越し挨拶にきてくれたときの申し訳なさそうな顔を思い出すと、より負担に感じてしまうのではないかと思い言えませんでした。
その後も、廊下で大きな喋り声が聞こえたので見てみると、工事の人たちが仲間内で話し込んでいたり、何かを搬入した後なのかやたら廊下が汚れていたりしました。
玄関前や廊下ですれ違うこともありましたが、挨拶もなしです。
きちんとした業者さんだったら、近隣住民には挨拶をするし、マンション内の公共スペースでは大きな声で喋らないし、作業をした後はきちんと掃除をするはずなのに...。
怒りというよりも、こんな業者さんと付き合わなければいけないお隣さんがかわいそうに思えてきました。
それから1年後。
たまたまエレベーターでお隣さんと一緒になった時のことです。
お隣さんがまた申し訳なさそうに切り出します。
「工事のことではずいぶんご迷惑をおかけしました。実は、あまりにもひどい仕上がりだったのでやり直しをお願いしたんですが対応してくれず、裁判寸前になってるんです。向こうの対応もひどいので相当長引くかもしれませんが、工事が完了したらまた改めてご挨拶しますので...」
話しながら、お隣さんは泣きそうになっていました。
そんなことになっているのか! と驚いた反面、やっぱりな、という気もします。
仕事に対する姿勢は、挨拶や立ち居振る舞いなどのちょっとしたところにもあらわれるんだなと思いました。
それにしても、せっかく新しい家に引っ越したのに、1年間も気に入らない状態で住まなければいけなかったお隣さんはかわいそうですよね。
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