給料の額を教えない、性行為を強要する...。弁護士が教える「モラハラ」の基礎知識/おとめ六法(18)

DVやハラスメント、性犯罪に娘のいじめ...「女性が巻き込まれやすいトラブル」は数多くあります。でも、そうした悩みを解決したくても、「誰かに相談したら逆に悪化するかも...」とどうしていいかわからない人も多いと言います。そこで、弁護士の上谷さくらさんと岸本学さんの著書『おとめ六法』(KADOKAWA)より、女性の味方になってくれる「法律」についてご紹介。ぜひ、ご自身やお子さんがトラブルの参考にしてください。

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「本当は良い人」という思いが罠になる

モラハラとは、「モラル・ハラスメント」の略で、倫理や道徳(モラル)に反する嫌がらせです。

広く捉えると、身体的な暴力以外はすべてモラハラと言ってよいでしょう。

次のような行為が、モラハラの例に挙げられます。

言葉の暴力

●「誰のおかげで飯食ってると思ってるんだ!」「なんの能力もないくせに」「お前なんか一人で生きていけないくせに」などと、配偶者を見下すことを言う

●「ブス」「デブ」など、容姿についてことさらに悪く言う

● 携帯のチェックなど、不必要に交友関係や行動を監視、制限する

● 子どもに「お前のお母さんはバカだ」など、母親を尊敬できなくなるようなことを言う

態度による暴力

● 配偶者の前でため息や舌打ち、支配的な態度に出る

● 無視をする

経済的な虐待

● 給料の額を教えない。ボーナスが出たかどうかも教えない

● 必要最低限の生活費も渡さない

● 相手の仕事の給料などを取り上げて渡さない

性行為の強要

●「セックスは妻の義務だ」などと言って、気の進まない性行為を強要する

● 拒むと不機嫌になったり、無理にでも応じさせようとする

モラハラをする人は、その自覚がない場合も少なくありません。

モラハラを受けている側も、「これは自分のための指導だ」「自分が至らないからだ」などと思ってしまう場合もあり、そのため、改善が難しい場合も多いのが現実です。

相手が離婚を拒む場合は、調停離婚になることもありますが、その際は暴言を録音したり、嫌だったことを日記につけたり、メールなどのやりとりを保存したりしておくと、「婚姻を継続し難い重大な事由」の証拠になります。

モラハラの場合、警察での相談は難しい場合が多いでしょう。

行政との連携がしっかりした警察署(警察官)であれば、そちらを紹介される可能性があります。

慰謝料請求もできないことはありませんが、暴力事件などでなければ証明が難しいことが多いのが実情です。


【あなたを守る法律】

民法 第710条 財産以外の損害の賠償

他人の身体、自由、もしくは名誉を侵害した場合、または他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。


ほかにも書籍では、恋愛・くらし・しごと・結婚など6つの章だてで、女性に起こりうる様々なトラブルに「どう法的に対処すべきか」が解説されていますので、興味がある方はチェックしてみてくださいね。

【まとめ読み】『おとめ六法』記事リスト

給料の額を教えない、性行為を強要する...。弁護士が教える「モラハラ」の基礎知識/おとめ六法(18) おとめ六法_帯あり.jpg六法やDV防止法、ストーカー規制法...。女性の一生に寄り添う大切な法律が、6章にわたって解説されています。

 

上谷さくら(かみたに・さくら)
弁護士(第一東京弁護士会所属)。犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長。第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。毎日新聞記者を経て、2007年弁護士登録。保護司。

岸本学(きしもと・まなぶ)
弁護士(第一東京弁護士会所属)。第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。人権擁護委員会第5特別部会(両性の平等)委員。民間企業のコンプライアンス統括部門を経て、2008年横浜国立大学法科大学院を卒業。同年司法試験合格。金融庁証券調査官を経て、2010年弁護士登録。

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『おとめ六法』

(上谷さくら、岸本学/KADOKAWA)

恋愛、インターネット、学校、生活、仕事、結婚など、生活に必要な法律の概要を解説しています。従来の一般向けの法律書とは違い、女性の生活各場面に関連する法律をピックアップして分かりやすく解説しています。また、生じたトラブルにへの対処法もあわせて説明しています。女性の一生に寄り添う法律を網羅した、すべての女性の味方になる実用的な一冊です。

★法律相談を大募集!

『おとめ六法』の著者で弁護士の上谷さくら先生に、「あなたの悩み」を相談してみませんか?
「離婚・DVなどの夫婦関係」

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(採用された方の質問に先生が回答し、毎日が発見ネットで記事として掲載させていただきます)

※この記事は『おとめ六法』(上谷さくら、岸本学/KADOKAWA)からの抜粋です。

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