もし子どもから「性被害」を打ち明けられたら...親として知っておいてほしい「対処法」/おとめ六法(2)

DVやハラスメント、性犯罪に娘のいじめ...「女性が巻き込まれやすいトラブル」は数多くあります。でも、そうした悩みを解決したくても、「誰かに相談したら逆に悪化するかも...」とどうしていいかわからない人も多いと言います。そこで、弁護士の上谷さくらさんと岸本学さんの著書『おとめ六法』(KADOKAWA)より、女性の味方になってくれる「法律」についてご紹介。ぜひ、ご自身やお子さんがトラブルの参考にしてください。

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適切なケアが回復のカギ

性被害にあうことは、とてもつらいことです。

その影響は、心身にさまざまな症状となって現れます。

事件のことを突然思い出して情緒不安定になったり、そうかと思えば事件が他人事のように感じられて、感情が麻痺することもあります。

食欲がなくなったり、夜眠れなくなったり、人に会うのが怖くなって学校や会社に行けなくなる人もいます。

自信を失って、自分に価値がないと感じ、自殺願望が高まってリストカットなどをしたり、自分を大事にする気持ちがなくなっていろんな人と性行為を繰り返す人もいます。

逆に、男性全般が怖くなり、男性と話ができなくなる人もいます。

うつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症したり、アルコール依存症になったり、薬物乱用に走る人もいます。

それほどつらいことに巻き込まれたのです。

心のケアの必要性

適切なケアを受けることで、時間がかかっても必ず回復に向かいます。

なかなか被害前の生活に戻れなかったり、前向きな気持ちになれなかったり、学校や会社に行けなかったりするのは、被害者の精神力が弱いせいではありません。

気合いでは治りません。

専門家による治療を受けることは、被害前の自分に近づくためにとても重要です。

心のケアを支援する制度・機関

全国の都道府県に、被害者支援センターがあります。

センターの臨床心理士が、無料でカウンセリングや専門的治療を行っています。

まずは連絡を取ってみましょう。

また各都道府県に、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターもあります。

ここは性犯罪・性暴力に関する相談窓口で、産婦人科医療やカウンセリング、法律相談などの専門機関と連携しています。

自分の子どもから性被害を打ち明けられたら......

絶対に怒らないことが重要です。

子どもは勇気を出して親に打ち明けています。

「そんな短いスカートをはいているから」など、子どもに落ち度があるような言い方はやめましょう。

被害から時間が経過していても、「どうしていままで黙っていたの?」と問い詰めないでください。

また、「気のせいではないのか」「忘れたほうがいい」などと子どもが打ち明けた内容を否定する発言もやめてください。

まずは、「よく話してくれたね」とねぎらい、「あなたはなにも悪くないのだから、安心してね」と言ってあげてください。

そして、なにに困っているのか、体調などを尋ね、早めに一緒に警察や支援センターに相談に行きましょう。

子どもが同意すれば、学校のスクールカウンセラーに相談してみるのもよいでしょう。

性被害の加害者が、自身のパートナーや知人友人であるなど、場合によっては親が動揺する場合もあります。

その場合でも、「〇〇さんがそんなことをするはずない」などと、子どもが嘘をついていると決めつけるようなことは絶対に言わず、子どもの言い分に耳を傾けてください。

友だちから性被害を打ち明けられたら......

友だちのペースに合わせて、話をよく聞いてあげてください。

心配かもしれませんが、事件のことを根掘り葉掘り聞かないでください。

そして、ちゃんとご飯を食べられているか、眠れいているかなど、体調を気遣ってあげてください。

正義感が先走り、「警察に行くべきだ」「泣き寝入りすると、犯人はまた別の人を襲う」「示談などもってのほか。裁判で徹底的に闘って」などの意見を述べるのは控えましょう。

深く傷ついていて、警察に行くことを考えられない人もいます。

また、自己肯定感が低下していたり、世の中の人がすべて敵に見えていたりしている場合もあります。

「私は味方だよ」と伝え、友だちの気持ちに寄り添ってください。

内容をぼかしたとしても、打ち明けられた話をSNSや、ほかの友人、親など別の人に話すこともやめましょう。

被害にあった友人の了解がないかぎり、自分だけの胸にしまってください。

交際相手から性被害を打ち明けられたら......

性被害にあうと、それまでと同じような交際を続けられなくなることも少なくありません。

キスや性交渉に拒絶反応を示すこともありますが、それは性被害にあった人に多くみられる症状です。

「自分は加害者とは違う」「守ってあげたいのに、なぜ自分を受け入れないのだ」などと責めないでください。

カウンセリングに付き添ったり、ゆっくりと話を聞いたりして、気持ちに寄り添うようにしましょう。


ほかにも書籍では、恋愛・くらし・しごと・結婚など6つの章だてで、女性に起こりうる様々なトラブルに「どう法的に対処すべきか」が解説されていますので、興味がある方はチェックしてみてくださいね。

【まとめ読み】『おとめ六法』記事リスト

おとめ六法_帯あり.jpg六法やDV防止法、ストーカー規制法...。女性の一生に寄り添う大切な法律が、6章にわたって解説されています。

 

上谷さくら(かみたに・さくら)
弁護士(第一東京弁護士会所属)。犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長。第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。毎日新聞記者を経て、2007年弁護士登録。保護司。

岸本学(きしもと・まなぶ)
弁護士(第一東京弁護士会所属)。第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。人権擁護委員会第5特別部会(両性の平等)委員。民間企業のコンプライアンス統括部門を経て、2008年横浜国立大学法科大学院を卒業。同年司法試験合格。金融庁証券調査官を経て、2010年弁護士登録。

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『おとめ六法』

(上谷さくら、岸本学/KADOKAWA)

恋愛、インターネット、学校、生活、仕事、結婚など、生活に必要な法律の概要を解説しています。従来の一般向けの法律書とは違い、女性の生活各場面に関連する法律をピックアップして分かりやすく解説しています。また、生じたトラブルにへの対処法もあわせて説明しています。女性の一生に寄り添う法律を網羅した、すべての女性の味方になる実用的な一冊です。

★法律相談を大募集!

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※この記事は『おとめ六法』(上谷さくら、岸本学/KADOKAWA)からの抜粋です。

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