毎月12万円のパート収入でやりくりをし、「老前整理」としてのものを減らしながらシンプルに暮らす――。そんな日々を綴ったブログが人気となったショコラさんの著書『58歳から 日々を大切に小さく暮らす』(すばる舎)より、「慎ましくも工夫して楽しむ生活」のヒントを、連載形式でお届けします。
老後を心配しても仕方ない。今日を積み重ねるだけ
起こるかどうかわからない将来のことを考えて心配するより、今ある毎日を積み重ねていくことが老後につながる、と思っています。
63歳の今、まだだいぶ先の80代や、すぐに来てしまうだろう70代のこともあまり考えることがありません。考えても仕方がないことだと思っています。 歳をとっていくことの愚痴を母に言うと、「若いくせに何言ってるのよ」といつも言われます。
89歳の母から見れば、私はまだ若いのです。
母は、父が亡くなってから10年以上ひとりで暮らしています。足が少し悪いので、自由に外に出かけられませんが、毎朝新聞をていねいに読み、見たいテレビ番組があれば赤鉛筆でチェックし、録画します。好きなものと体に良いもので、バランス良く食事をつくり、洗濯も掃除も自分でしています。
お天気が良い日には近所を散歩し、携帯で花の写真を撮り、眺めて楽しんでいます。自分もこんなふうに老後を過ごすのかな、と漠然と思うことはあります。
母は今のところ介護の認定もなく、老人ホームには絶対入りたくないと断言しています。自分の老後もこんなふうになるのが理想で、今の住まいが終の棲家になるでしょう。
ただ、友人の親たちを見ていると、いつまでひとりで生活できるのか、という不安もあります。
息子たちには金銭的にも労力としても、迷惑をかけたくないと思っています。どうしようもなくなったら、ホームへ入ることもあるかもしれません。
そのときはこの部屋を売り、わずかですが老後のための貯金を使うつもりです。
ここ数年、誕生日にいつも思い出すのは、何年か前のテレビドラマ「最後から二番目の恋」の中のセリフ。
主演の小泉今日子さんが、46歳の誕生日に隣家のサプライズパーティーで、46本のろうそくが立てられたケーキを前に、こんな歳でお祝いなんて恥ずかしいと言う場面。隣人役の中井貴一さんが、
「誕生日にはお祝いすることが2つある。ひとつは、あなたがこの世に生まれてきたこと。もうひとつは、今元気で生きていること。年をとって誕生日が来るのはイヤだ、めでたくないと言うのはおかしい。年をとればとるほど、誕生日はおめでたく素晴らしいこと。20歳の誕生日より、46歳の誕生日のほうが素晴らしく、たくさんのろうそくはその数だけがんばってきたことの証」
というようなセリフです。
体力もなくなり、記憶力はゼロに近くなってきて、ムリがきかなくなる。老後の体やお金の心配もありますが、でも本当にその通りなんだと。歳をとっていくことを悲観するのではなく、喜ぶべき日なんだと、母の誕生日にも必ず伝える言葉です。
★その他の「58歳から 日々を大切に小さく暮らす」記事リストはこちら!
「老前整理」として物を整理しつつ、「シンプルで豊かな暮らし」が詰まった一冊です。