病院にかかるほどではないけれど、なんとなく体の調子が良くない。とくに女性を悩ませがちな「冷え」や「肌荒れ」などについて、Twitterフォロワー数10万人(2019年1月現在)を数える漢方の専門家・櫻井大典先生に、その原因や対処法を教えてもらいました!
できるだけ実践しやすく、続けやすい、中医学にもとづいた健康法を、全5回にわたってお届けします。第2回目のテーマは「肌荒れ」です。
前の記事はこちら「冬だけじゃない!一年中起こりうる「冷え性」に効く対策とは?/漢方のプロ・櫻井大典先生が教える健康法」
ニキビに湿疹、肌荒れのトラブルは鏡を見るたびに目立つので気になりますよね。テレビでも様々な商品のCMが流れ、世代を問わず関心の高さが伺えます。とくに冬は、乾燥に悩まされる方のご相談が大変多くなります。
肌荒れの原因
中医学では、肌荒れは主に余分な熱と乾燥によって引き起こされると考えます。肌荒れによる肌の赤みは肌に熱がこもっている状態で、乾燥は津液(しんえき) という潤いの不足によるものです。津液とは、血液以外の生理活動に必要な体液の総称のことで、全身に潤いを与え、熱や興奮を抑制しています。
肌に熱がこもる要因は偏食、過度なストレス、睡眠不足の3つ。偏食とは、辛いもの、脂っこいもの、甘い物、味の濃いものなどを沢山食べた、または恒常的に食べている場合を指します。逆に熱を冷ます力を持ったものは、葉物野菜全般と海藻類です。
これらは加熱して 日頃からたっぷりと摂ることが大事です。生のままだと、量が食べられないうえに、ちゃんと消化されずに、体内にヘドロのような病理産物である、痰湿(たんしつ)というものを溜めやすくなります。
津液が不足してしまうのは、津液の元になる食材、例えば白菜や豆腐、白ごまなどといったものが足りていないか、または潤いを作り、貯めて、体の各部に送る働きをしている臓腑が弱っているせいかもしれません。
潤いの元となる津液を飲食物から作り出すのは、脾(ひ)と呼ばれる消化器官の役割です。食欲不振、軟便などが見られ、消化し潤いを作り出す能力が低下していると、ちゃんと食べていても津液が作られません。また、その作られた潤いを貯めるタンクである、腎*が弱っていても、やはり流れ出てしまうので、乾燥します。そして、その蓄えられた潤いを全身に散布する肺*が弱っていてもやはり乾燥が起こります。中医学には「皮膚は内臓の鏡」という言葉があります。内臓がしっかり元気に働いていないと、きれいな肌を維持できません。
*中医学で腎は潤いを蓄える場所とされています。
*中医学で肺は潤いを全身に送り届ける場所とされています。
肌荒れ対策
健康な肌を保つためには、まず食を見直すこと。消化系を弱らすような暴飲暴食、とくに油っこくて味が濃いものや甘い物、そして生もの、冷たいものをよくとっていないか確認してみてください。そして潤いを補う食事(白菜や豆腐、白ごまなど)や熱を冷ます食材(葉物野菜全般と海藻類)をちゃんと摂れているかどうかもチェックしてくださいね。
また遅くまで起きていることもよくありません。中医学の考えでは潤いは夜間作られます。遅くまで起きていれば起きているほど、潤いを作る時間がなくなります。
ちなみに、 女性がとくに悩みがちな、肌の透明感が無いとかくすんでるとか、シミやそばかすが多いというのは、血瘀状態(けつおじょうたい)といって、前述の血がドロドロと流れにくいものになった結果として考えます。また、シミやくすみのほか、歯茎の色が悪い、肩こりや頭痛が慢性的にある、女性では月経時に刺すような腹痛がある、経血にレバー状の塊が混じるなどの場合は、血の質が悪くなっているのかもしれません。改善するには冷たいものをひかえて、できるだけ体を動かして血行をよくしましょう。特にPC作業なので、ずっと同じ姿勢でいるのはよくありません。1時間に1回は屈伸する、肩回しをするなどして動くようにしましょう。
どの症状も現状を改善するには、適した漢方薬が必要ですので、専門家にご相談ください。
肌は排泄器官で、吸収器官ではありません。外から栄養補給するのは無理なので、内側から良い肌を作ってあげることが大事です。まずは食事と睡眠時間を見直して見てくださいね。