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血流を改善する漢方薬で じっくりと体質改善
漢方薬を飲むことで体質改善をする方法もあります。手先や足先がとても冷える人は「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)」を飲みます。当帰四逆湯という手足(四肢)の血行を改善する薬に、体を温める呉茱萸と生姜を加えたものです。呉茱萸は香りも味もクセがあるので、続けるのは少し努力がいるかもしれません。
くちびるがカサつくなど乾燥がひどい人は「温経湯(うんけいとう)」、むくみ気味の人は「当帰芍薬散(しゃくやくさん)」を。この3種類は市販もされています。体質の変化を感じられるまでには2、3カ月が必要です。
以前診察した患者は、小柄で一見ハツラツとしていましたが、水仕事のために体が芯から冷えてしまうということでした。そこで温める作用が強い附子(ぶし)を入れた「当帰四逆湯加附子」を処方。秋から飲み続けたことでその冬の冷えが改善されて、しもやけのつらさも軽くなりました。
すでにあかぎれになってしまった場合は、市販品もある塗り薬「紫雲膏(しうんこう)」があります。ただし薄い紫色でごま油の香りがするので、寝る前に薄く塗り、手袋をするとよいでしょう。潰瘍ができてしまったら、皮膚科の受診が必要です。
しもやけに似た症状があり、微熱がある、関節が痛む、春になっても腫れが続くといった場合には注意が必要です。強皮症(きょうひしょう)や全身性エリテマトーデスといった膠原病(こうげんびょう)の可能性もありますので、すぐに内科で受診を。
◎今日からできること
血行改善のために暖かく。
マッサージや食事に気を付けて気長に取り組みましょう。
しもやけ対策には「予防」が一番!
1 水にぬれた手などは すぐにしっかりと拭きましょう
肌がぬれていると、水分の気化熱で冷えてしまいます。水仕事などでぬれたときには、よく乾いたタオルを使い、 素早くしっかりと拭きましょう。
2 とにかく暖かくしましょう
しもやけの発症は温度と関係があるので、とにかく冷やさないように暖かくすることが大事です。手袋や靴下を着用して、暖かく、血の巡りが良い状態を保ちましょう。ただし、靴下を何枚も重ねばきすると窮屈になり、かえって血行が悪くなるので注意が必要です。重ねばきをするときには大きめの靴下をはいたり、靴の靴ひもを調節したりして、足を圧迫しないように。
3 ビタミンEを摂りましょう
ビタミンEは血行を改善します。多く含まれている食べ物は、かぼちゃ、さつまいも、ほうれん草、アーモンド、オリーブ油、魚介類では、鮭、いくら、いかなどです。ただし、ビタミンEは脂溶性のため、体内の脂肪に蓄積されていくという特徴があります。ビタミンEの過剰摂取は 骨粗鬆症のリスクを高めます。特にサプリメントを利用している人は用量を守り、摂り過ぎに注意しましょう。
取材・文/三村路子 イラスト/角しんさく
勝野達郎(かつの・たつろう)先生
千葉大学柏の葉診療所所長。千葉大学医学部附属病院准教授。東洋医学、漢方内科。 同診療所は、国立大学法人として自由診療による漢方治療を開始。保険適用外の生薬も活用するオーダーメイド処方を行っている(完全予約制)。