冬だけじゃない!一年中起こりうる「冷え性」に効く対策とは?/漢方のプロ・櫻井大典先生が教える健康法

病院にかかるほどではないけれど、なんとなく体の調子が良くない。とくに女性を悩ませがちな「冷え」や「肌荒れ」などについて、Twitterフォロワー数10万人(2019年1月現在)を数える漢方の専門家・櫻井大典先生に、その原因や対処法を教えてもらいました!

できるだけ実践しやすく、続けやすい、中医学にもとづいた健康法を、全5回にわたってお届けします。今回のテーマは「冷え性」です。

pixta_34701231_S.jpg大寒を過ぎ冬の寒さも本番となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。ここ北海道・北見は、流氷が網走に着岸したこれからが寒さの本番です。毎日、気温が二桁マイナスになる朝を迎えております。

冷え性のご相談は冬場、寒くなってから増えると思われがちですが、じつは一年を通して多いものなんです。秋冬は外気温が低いので冷え、夏場はエアコンで冷えるという方が多いですね。

冷え性と一言で言っても、症状や原因は様々。手首や足首の先が冷える、指先だけが冷える、体全体が冷える、下半身だけが冷えるなどいろいろ見られます。中医学的に見ると、それらにはそれぞれ別々の理由や原因があります。

なぜ冷えるのか

中医学では体を温める力が弱っていると冷える、と考えます。体を温めているのは五臓の「腎(じん)*」という場所で、ここが弱ると冷えます。中医学が指す腎は、ホルモンバランスをコントロールし、生長・発育・生殖を担う器官の総称です。ここが体を温めて、生命活動を促すエネルギーを供給しています。この腎は加齢に伴って弱ります。なので、冷え、特に足腰の冷えや夜間の頻尿などは、この腎が弱ってしまった事によるものの可能性が高いです。腎の弱りは加齢によるものだけでなく、昨今若い方でも見られます。
*中医学では、生命活動に必要な働きや機能を、「肝、心、脾、肺、腎」の5つに分類した「五臓」という概念があります。これらは解剖学が指す「肝臓、心臓、脾臓、肺、腎臓」と混同されがちですが、中医学では部位ではなく、より広い機能や概念を指しています。

次に、「腎は元気だけど、冷える」という場合。これは、エネルギーが充分にあるかどうかを考えます。体を動かすエネルギーのことを 中医学では「気(き)」と呼びますが、この気には温煦作用(おんくさよう)といって、体を温める力があります。元気がない、すぐ横になりたい、すぐカゼをひく、胃腸が弱いなどがあって、冷えるというのは、気の不足状態(気虚といいます)と考えます。温める力が弱く、冷えやすい状態です。この気の不足の冷えは、体全体が冷えます。

次は、血の不足、または血の巡りの悪化による冷えです。気と同じく、血も体の各部を温める媒体です。中医学では血を「けつ」と呼び、栄養とうるおいを運び、精神を安定させる物質と考えます。この血がうまく体の隅々まで巡っていないと、細胞たちは元気に働けずに冷えやすくなります。血が足りない方は、体全体が冷えやすく、血流が悪くて冷えやすい方は、特に手首から先、または足首から先の冷えが顕著になります。

もう一つ、「気滞(きたい)」による冷えもあります。気滞とは、前出の気が体の隅々までうまく巡っていない状態です。これは、いわばストレス過多の状態です。気滞による冷えは、手先や足先など末端が冷えることがよく見られます。

冷え性対策

冷えの基本対策は、まず冷やさないこと。冷たい飲み物、食べ物はもちろんのこと、薄着はしないようにしましょう。シャワーで済ませず、湯船に浸かることも大切です。忙しいときは、洗面器などをつかって足湯をするだけでも違いますよ。飲食物の温度は、体温より高いものを基本にしてくださいね。

また、動かないことも冷える元になります。まずは動くことを意識してください。
その上で、下記のそれぞれの対策をご参考ください。

腎が弱るタイプの冷えは、腎を弱らせないようにすることと、腎を元気づけることの両方が大切です。腎を弱らせるのは、冷たい飲食や薄着、長時間座り続けること、長時間立ち続けることなど。歩かないというのも、腎を弱らせることに繋がります。もう一つ、セックス過多というのも腎を弱らすことに繋がります。

対策としては、1時間1回は屈伸など足腰を動かすようにする。逆に立ちすぎの場合は、やすむ時間を作ってみてください。そして、歩行が少ない方は、階段をつかう、一駅歩くようにするなどをしてみてください。薄着、とくに足首を露出するような服装は避けましょう。食材では、黒豆、黒木耳、黒ごまなどの黒いもの、山芋など粘り気のあるもの、くるみや栗、蓮の実、クコの実など実のもの、豆類全般、その他、羊肉、鮭などもおすすめです。加熱して食べましょう。

エネルギー不足の場合は、疲れると悪化します。休息を意識して取ることに加え、エネルギーを補う山芋、さやいんげん、さくらんぼ、もも、しいたけ、ししゃも、トビウオ、サザエ、羊肉、甘酒、あんこう、イワシ、サバなどを食べることがおすすめです。

血(けつ≠血液)が不足するタイプでは、血の消耗になるようなこと、例えば夜更かしや目の使いすぎに気をつけましょう。また、血を増やす食材の、モロヘイヤ、ほうれん草、なつめ、まつたけ、ニシン、まぐろ、ぶり、いわし、枝豆、牛肉などを日常的に食べておくこともおすすめです。

冷え性対策の基本は、体の外も中も冷やさない。そしてしっかり食べて動くことを意識してくださいね。上記に挙げた食べ物を取ることは、冷えの予防と悪化させない対策とお考えください。いま現在すごく冷えている場合は、漢方薬などお薬も必要です。対策をお探しの方は、漢方相談ができる専門家にご相談くださいね。

櫻井大典さん監修『ねこ先生トト・ノエルに教わる ゆるゆる健康法』(KADOKAWA)の一部が読める!こちらをクリック!

 

DSC_8639+.jpg櫻井大典(さくらい・だいすけ)

北海道北見市にある「ミドリ薬品 漢方堂」三代目。本場中国でも中医学を学び、日本の薬局で経験を積んだあと帰郷。現在は、北見市に3店舗を総括している。本業と並行して、中医学を活かした健康知識を毎日、Twitterで発信。優しく分かりやすい内容が多くのファンを生み、フォロワー数は10万人を突破している。著書に『ミドリ薬品漢方堂のまいにち漢方―体と心をいたわる365のコツ』(ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)、監修に『ねこ先生トト・ノエルに教わる ゆるゆる健康法』(KADOKAWA)などがある。

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