法律家から見た「毒親」の問題点とは...?/おとめ六法(23)

DVやハラスメント、性犯罪に娘のいじめ...「女性が巻き込まれやすいトラブル」は数多くあります。でも、そうした悩みを解決したくても、「誰かに相談したら逆に悪化するかも...」とどうしていいかわからない人も多いと言います。そこで、弁護士の上谷さくらさんと岸本学さんの著書『おとめ六法』(KADOKAWA)より、女性の味方になってくれる「法律」についてご紹介。ぜひ、ご自身やお子さんがトラブルの参考にしてください。

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「わたしの子どもなんだから、なにしてもいい」?

「毒親」という言葉が広く知られるようになりました。

決まった定義はありませんが、「子どもを思い通りに支配しようとする親」「子どもを傷つける親」「子どもにまったく無関心な親」というように、「子どもにとって毒になる」意味で使われます。

具体的には、次の行為などが毒親の行為の例に挙げられます。

● ささいなことでどなったり暴力をふるったりする

● 一切スキンシップをしない

● 習い事や進路などについて、子どもの希望を無視して親の意向に従わせる

● 必要な食事も与えない、教育を受けさせないなど、子どもに無関心

● 子どもの考えや好みを全面的に否定する

●「産まなければよかった」「お前のせいで、私の人生がだめになった」「いなくなれ」など、子どもの存在自体を否定する

● 子どもの進学、就職、結婚などを邪魔する

親は、子どもの利益のために、子どもの監護をし、教育をする権利があります。

そして、これは義務でもあります(民法第820条)。

「子の利益のために」という言葉は、児童虐待防止の観点から、2011年の民法改正により追加されました。

親が好き勝手に子どもを支配していいわけではないことは当然の前提と思われていましたが、親権の濫用による虐待が増えてきたため、民法に明記されました。

同時に、従来の「親権喪失」制度に加え、親権喪失よりも認められやすい「親権停止」制度も新しくできました。

毒親に育てられた子どもたちは、自己肯定感が低く、自分が親になることを恐れるなど、成人してからもさまざまな生きづらさを持ち続ける人が少なくありません。

逆に、自分の意に反して、嫌だった自分の毒親そっくりにふるまってしまう人もいます。

しかし、カウンセリング等で回復できるケースも多いようです。

自分の生きづらさの原因が親との関係にありそうだと感じたら、一度専門家に相談してみるのもよいでしょう。


ほかにも書籍では、恋愛・くらし・しごと・結婚など6つの章だてで、女性に起こりうる様々なトラブルに「どう法的に対処すべきか」が解説されていますので、興味がある方はチェックしてみてくださいね。

【まとめ読み】『おとめ六法』記事リスト

法律家から見た「毒親」の問題点とは...?/おとめ六法(23) おとめ六法_帯あり.jpg六法やDV防止法、ストーカー規制法...。女性の一生に寄り添う大切な法律が、6章にわたって解説されています。

 

上谷さくら(かみたに・さくら)
弁護士(第一東京弁護士会所属)。犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長。第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。毎日新聞記者を経て、2007年弁護士登録。保護司。

岸本学(きしもと・まなぶ)
弁護士(第一東京弁護士会所属)。第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。人権擁護委員会第5特別部会(両性の平等)委員。民間企業のコンプライアンス統括部門を経て、2008年横浜国立大学法科大学院を卒業。同年司法試験合格。金融庁証券調査官を経て、2010年弁護士登録。

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『おとめ六法』

(上谷さくら、岸本学/KADOKAWA)

恋愛、インターネット、学校、生活、仕事、結婚など、生活に必要な法律の概要を解説しています。従来の一般向けの法律書とは違い、女性の生活各場面に関連する法律をピックアップして分かりやすく解説しています。また、生じたトラブルにへの対処法もあわせて説明しています。女性の一生に寄り添う法律を網羅した、すべての女性の味方になる実用的な一冊です。

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※この記事は『おとめ六法』(上谷さくら、岸本学/KADOKAWA)からの抜粋です。

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