DVやハラスメント、性犯罪に娘のいじめ...「女性が巻き込まれやすいトラブル」は数多くあります。でも、そうした悩みを解決したくても、「誰かに相談したら逆に悪化するかも...」とどうしていいかわからない人も多いと言います。そこで、弁護士の上谷さくらさんと岸本学さんの著書『おとめ六法』(KADOKAWA)より、女性の味方になってくれる「法律」についてご紹介。ぜひ、ご自身やお子さんがトラブルの参考にしてください。
かんたんに壊れる砂のお城
オートロックとは「建物内に共用玄関のドアがあり、外からドアを開けるためには、鍵や暗証番号などを用いるか、居住者などに内側から鍵を解除してもらう必要がある共同住宅」を指します(国土交通省『平成30年住生活総合調査〔速報集計〕結果』)。
防犯のために、オートロックつきの物件がいいと思う人は少なくないでしょう。
オートロックでないマンション等と比較をすれば、オートロックのマンションのほうが安心かもしれません。
しかしオートロックだからといって、絶対安心な場所ではありません。
侵入リスクはそれなりに残されています。
オートロックのマンションでも、以下のような方法で不審者が侵入してくるといわれています。
① 住民の後について入ってくる
マンションの住人がオートロックを開けて中に入るときに、不審者が住人に続いて侵入してくることが考えられます。
不審者が素知らぬ顔で住人のふりをしていると、なかなか声をかけにくいものです。
ほかに宅配便の配達を装って、適当な部屋のインターホンを押し、ドアを開けてもらう方法もあるようです。
② センサーを誤作動させる
自動ドアタイプのオートロックの場合、外から入る際は鍵や暗証番号などが必要でも、内側からはセンサーが人を感知して自動でドアが開くものがあります。
このしくみを利用して、ドアの隙間から紙などを差し込み、センサーを誤作動させて、外からドアを開けてしまえる場合があります。
③ 非常用開錠ボタンで開錠する
消防や救急隊などが緊急時に入れるよう、オートロックには非常用の開錠ボタンが設置されています。
不審者がこのボタンを押してオートロックのドアを開けて侵入することも考えられます。
④ オートロック以外の場所から侵入する
出入り口以外にも、簡単に乗り越えられる柵やベランダがあれば、そこから侵入される場合があります。
また、通用口を住民が開けっ放しにしているという場合もあります。
このように、オートロックのマンションでも、セキュリティ万全というわけではありません。
「ちょっと近所のコンビニまで」というときでも、外出時には鍵をかけましょう。
在室時も自室玄関の鍵はかけておきましょう。
なにより、ストーカーなどの加害者は外部だけでなく、同じマンションにいないともかぎりません。
「怪しいな」と思ったら110番
たとえば、複数の部屋のドアノブを回している(施錠していない部屋を探しているかも!?)、長時間共用部をうろついている、ドアをピッキングしているように見える、大声を出して騒ぐなどしている......そんな人を見つけたときは、110番をして警察官を呼びましょう。
マンションの共用部で不審な行動をとる者がいる場合は、犯罪発生につながる可能性が高い事態だからです。
共用部に入って開錠されている部屋を探している、という時点で、住居侵入罪の既遂となります。
警察による職務質問の結果、不審者の言い分が嘘と言い切れない(犯罪の嫌疑が十分でない)場合でも、マンションから追い出してくれたりするほか、逮捕せず任意同行を求めて警察署に連れていくこともあります。
もちろん「不審者」に見えただけで、実はほかの住民が呼んだ人であり、犯罪性はなかったという場合もあるかもしれません。
しかしそれならそれで、そのことを警察官に確認してもらえば安心です。
「不審者ではないかも」と思って警察への通報をためらった結果、なんらかの犯罪が行われることを、避けるべきでしょう。
ほかにも書籍では、恋愛・くらし・しごと・結婚など6つの章だてで、女性に起こりうる様々なトラブルに「どう法的に対処すべきか」が解説されていますので、興味がある方はチェックしてみてくださいね。
六法やDV防止法、ストーカー規制法...。女性の一生に寄り添う大切な法律が、6章にわたって解説されています。