娘のマンションはオートロックだから...と安心しないで! 知っておきたい「侵入リスク」/おとめ六法(10)

DVやハラスメント、性犯罪に娘のいじめ...「女性が巻き込まれやすいトラブル」は数多くあります。でも、そうした悩みを解決したくても、「誰かに相談したら逆に悪化するかも...」とどうしていいかわからない人も多いと言います。そこで、弁護士の上谷さくらさんと岸本学さんの著書『おとめ六法』(KADOKAWA)より、女性の味方になってくれる「法律」についてご紹介。ぜひ、ご自身やお子さんがトラブルの参考にしてください。

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かんたんに壊れる砂のお城

オートロックとは「建物内に共用玄関のドアがあり、外からドアを開けるためには、鍵や暗証番号などを用いるか、居住者などに内側から鍵を解除してもらう必要がある共同住宅」を指します(国土交通省『平成30年住生活総合調査〔速報集計〕結果』)。

防犯のために、オートロックつきの物件がいいと思う人は少なくないでしょう。

オートロックでないマンション等と比較をすれば、オートロックのマンションのほうが安心かもしれません。

しかしオートロックだからといって、絶対安心な場所ではありません。

侵入リスクはそれなりに残されています。

オートロックのマンションでも、以下のような方法で不審者が侵入してくるといわれています。

① 住民の後について入ってくる

マンションの住人がオートロックを開けて中に入るときに、不審者が住人に続いて侵入してくることが考えられます。

不審者が素知らぬ顔で住人のふりをしていると、なかなか声をかけにくいものです。

ほかに宅配便の配達を装って、適当な部屋のインターホンを押し、ドアを開けてもらう方法もあるようです。

② センサーを誤作動させる

自動ドアタイプのオートロックの場合、外から入る際は鍵や暗証番号などが必要でも、内側からはセンサーが人を感知して自動でドアが開くものがあります。

このしくみを利用して、ドアの隙間から紙などを差し込み、センサーを誤作動させて、外からドアを開けてしまえる場合があります。

③ 非常用開錠ボタンで開錠する

消防や救急隊などが緊急時に入れるよう、オートロックには非常用の開錠ボタンが設置されています。

不審者がこのボタンを押してオートロックのドアを開けて侵入することも考えられます。

④ オートロック以外の場所から侵入する

出入り口以外にも、簡単に乗り越えられる柵やベランダがあれば、そこから侵入される場合があります。

また、通用口を住民が開けっ放しにしているという場合もあります。

このように、オートロックのマンションでも、セキュリティ万全というわけではありません。

「ちょっと近所のコンビニまで」というときでも、外出時には鍵をかけましょう。

在室時も自室玄関の鍵はかけておきましょう。

なにより、ストーカーなどの加害者は外部だけでなく、同じマンションにいないともかぎりません。

「怪しいな」と思ったら110番

たとえば、複数の部屋のドアノブを回している(施錠していない部屋を探しているかも!?)、長時間共用部をうろついている、ドアをピッキングしているように見える、大声を出して騒ぐなどしている......そんな人を見つけたときは、110番をして警察官を呼びましょう。

マンションの共用部で不審な行動をとる者がいる場合は、犯罪発生につながる可能性が高い事態だからです。

共用部に入って開錠されている部屋を探している、という時点で、住居侵入罪の既遂となります。

警察による職務質問の結果、不審者の言い分が嘘と言い切れない(犯罪の嫌疑が十分でない)場合でも、マンションから追い出してくれたりするほか、逮捕せず任意同行を求めて警察署に連れていくこともあります。

もちろん「不審者」に見えただけで、実はほかの住民が呼んだ人であり、犯罪性はなかったという場合もあるかもしれません。

しかしそれならそれで、そのことを警察官に確認してもらえば安心です。

「不審者ではないかも」と思って警察への通報をためらった結果、なんらかの犯罪が行われることを、避けるべきでしょう。


ほかにも書籍では、恋愛・くらし・しごと・結婚など6つの章だてで、女性に起こりうる様々なトラブルに「どう法的に対処すべきか」が解説されていますので、興味がある方はチェックしてみてくださいね。

【まとめ読み】『おとめ六法』記事リスト

娘のマンションはオートロックだから...と安心しないで! 知っておきたい「侵入リスク」/おとめ六法(10) おとめ六法_帯あり.jpg六法やDV防止法、ストーカー規制法...。女性の一生に寄り添う大切な法律が、6章にわたって解説されています。

 

上谷さくら(かみたに・さくら)
弁護士(第一東京弁護士会所属)。犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長。第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。毎日新聞記者を経て、2007年弁護士登録。保護司。

岸本学(きしもと・まなぶ)
弁護士(第一東京弁護士会所属)。第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。人権擁護委員会第5特別部会(両性の平等)委員。民間企業のコンプライアンス統括部門を経て、2008年横浜国立大学法科大学院を卒業。同年司法試験合格。金融庁証券調査官を経て、2010年弁護士登録。

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『おとめ六法』

(上谷さくら、岸本学/KADOKAWA)

恋愛、インターネット、学校、生活、仕事、結婚など、生活に必要な法律の概要を解説しています。従来の一般向けの法律書とは違い、女性の生活各場面に関連する法律をピックアップして分かりやすく解説しています。また、生じたトラブルにへの対処法もあわせて説明しています。女性の一生に寄り添う法律を網羅した、すべての女性の味方になる実用的な一冊です。

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※この記事は『おとめ六法』(上谷さくら、岸本学/KADOKAWA)からの抜粋です。

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