家庭内別居中に不倫した夫に慰謝料請求できる? 知っておきたい法的な「別居」の考え方/おとめ六法(19)

DVやハラスメント、性犯罪に娘のいじめ...「女性が巻き込まれやすいトラブル」は数多くあります。でも、そうした悩みを解決したくても、「誰かに相談したら逆に悪化するかも...」とどうしていいかわからない人も多いと言います。そこで、弁護士の上谷さくらさんと岸本学さんの著書『おとめ六法』(KADOKAWA)より、女性の味方になってくれる「法律」についてご紹介。ぜひ、ご自身やお子さんがトラブルの参考にしてください。

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夫婦といえない間柄

別居は、夫婦が別々に住んでいることを指します。

離婚で争いになる場合、裁判所が離婚を認める基準の一つに「別居期間の長さ」がありますが、家庭内別居では別々に住んでいないので、別居とみなされないのが原則です。

そのため、「長年、家庭内別居の状態」といくら主張しても、それだけで「夫婦関係が破綻している」という判断はされません。

「まったく会話がない」「お互い顔を合わせないように、生活の時間帯をズラしている」などの事情があれば、夫婦関係が悪化していたこと自体は認定される可能性があります。

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©Caho

単身赴任は別居扱いになる?

単身赴任は基本的に別居ではありません。

状況によっては頻繁に自宅に帰るのが難しいこともあるからです。

別居と認定することは困難な場合がほとんどだと考えられます。


【事例1】
家庭内別居中に相手が不倫をした。慰謝料請求は行いたい。

【ANSWER】
家庭内別居は、「夫婦関係の破綻」とみなされない可能性が高いため、慰謝料請求が可能です。


【事例2】
配偶者の不倫。関係を見直すために別居することに。離婚も見据えて準備しておくべきことは?

【ANSWER】
夫婦の共有財産の確認をすることが大事です。

名義にかかわらず、預貯金の口座を把握する、生命保険の有無、生命保険のタイプ(学資保険は忘れがちなので注意!)、会社で財形貯蓄がないか、有価証券の有無、車両の有無、などを確認しましょう。

子どもがいる場合は、転校するのか、生活費はどうするのか、働いている間に預ける場所はあるかどうかを確認します。

別居した親と子どもの関わり方についても、約束事を決めておきましょう。

浮気が原因で別居する場合は、浮気の証拠も確保しておきましょう。

浮気について相手が認めてそれで別居する、ということがわかる証拠(会話の録音、録画など)を作っておくのがよいでしょう。


【事例3】
専業主婦だった自分にはすぐ十分な収入が見込めない。別居中は夫に生活費を頼める?

【ANSWER】
「婚姻費用」を支払うべき法律上の義務があります。

任意で渡してくれないようであれば、家裁に調停を申し立てるべきです。

支払義務者が拒否しても、裁判所が「いくら払うように」と決めてくれます。

支払われない場合、給与の差し押さえができます。


ほかにも書籍では、恋愛・くらし・しごと・結婚など6つの章だてで、女性に起こりうる様々なトラブルに「どう法的に対処すべきか」が解説されていますので、興味がある方はチェックしてみてくださいね。

【まとめ読み】『おとめ六法』記事リスト

家庭内別居中に不倫した夫に慰謝料請求できる? 知っておきたい法的な「別居」の考え方/おとめ六法(19) おとめ六法_帯あり.jpg六法やDV防止法、ストーカー規制法...。女性の一生に寄り添う大切な法律が、6章にわたって解説されています。

 

上谷さくら(かみたに・さくら)
弁護士(第一東京弁護士会所属)。犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長。第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。毎日新聞記者を経て、2007年弁護士登録。保護司。

岸本学(きしもと・まなぶ)
弁護士(第一東京弁護士会所属)。第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。人権擁護委員会第5特別部会(両性の平等)委員。民間企業のコンプライアンス統括部門を経て、2008年横浜国立大学法科大学院を卒業。同年司法試験合格。金融庁証券調査官を経て、2010年弁護士登録。

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『おとめ六法』

(上谷さくら、岸本学/KADOKAWA)

恋愛、インターネット、学校、生活、仕事、結婚など、生活に必要な法律の概要を解説しています。従来の一般向けの法律書とは違い、女性の生活各場面に関連する法律をピックアップして分かりやすく解説しています。また、生じたトラブルにへの対処法もあわせて説明しています。女性の一生に寄り添う法律を網羅した、すべての女性の味方になる実用的な一冊です。

★法律相談を大募集!

『おとめ六法』の著者で弁護士の上谷さくら先生に、「あなたの悩み」を相談してみませんか?
「離婚・DVなどの夫婦関係」

「子どもが性被害に遭った」

「勤め先でのセクハラ・パワハラ」

「離婚した夫からの養育費」

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(採用された方の質問に先生が回答し、毎日が発見ネットで記事として掲載させていただきます)

※この記事は『おとめ六法』(上谷さくら、岸本学/KADOKAWA)からの抜粋です。

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