「同棲」との違いをご存じですか? 弁護士が教える「事実婚」の基礎知識/おとめ六法(15)

DVやハラスメント、性犯罪に娘のいじめ...「女性が巻き込まれやすいトラブル」は数多くあります。でも、そうした悩みを解決したくても、「誰かに相談したら逆に悪化するかも...」とどうしていいかわからない人も多いと言います。そこで、弁護士の上谷さくらさんと岸本学さんの著書『おとめ六法』(KADOKAWA)より、女性の味方になってくれる「法律」についてご紹介。ぜひ、ご自身やお子さんがトラブルの参考にしてください。

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法律婚だけが夫婦の証明ではない

事実婚とは、婚姻届を出さないだけで、カップルの双方が事実上の夫婦として生活する意思を有し、実際に夫婦と同様の生活を送るスタイルの結婚です。

「内縁」とは事実婚のことです。

憲法は「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し」と規定しており、「婚姻届の提出」を条件としていません。

事実婚は法律上、可能なかぎりで、婚姻届を提出した夫婦(法律婚)と同じように扱うこととされ、一定の法律上の保護を受けることができます。

しかし次のような点で、事実婚の夫婦は、法律婚の夫婦と扱いが違います。

● 相手が亡くなったとき、相手の財産を「法定相続」できません。遺言により財産の遺贈を受けた場合でも、法律婚の夫婦間の相続の場合に比べ、税法上の優遇が受けられません。

● 子どもができたときに、自動的には法律上の夫の子どもとは認められません。認知の手続きが必要です。

このほかにも、事実婚と法律婚では、法制度のうえで細かな取り扱いの差があります。

どのようなスタイルでも、しっかりパートナーと話し合って決めることが重要です。

手続き

事実婚は、「事実上」の関係であるため、法律婚とは違う方法で関係を証明する必要があります。

「どちらか一人が事実婚と思っていても、他方はそう思ってなかった!」ということも起こりえます。

なんらかの書面を作成して万が一のときに備えておくことが有効です。

また、入籍はしないにしても親族・知人・職場関係者を招いて、結婚式・披露宴を挙げておくのもよいでしょう。

「事実婚」の証明に役立つものには、ほかに次のようなものがあります。

● 一方が他方の健康保険上の被扶養者になっている

● 一方が他方の生命保険の受取人になっている

● 住宅の賃貸契約で両者が共同賃借人になっている

● 住民票の続柄欄に「夫(未届)」「妻(未届)」と記載されている

ポイント「同棲と事実婚の違いは?」

同棲は、カップルが同居するだけで、夫婦として生活する意思まではない場合を指します。

両者に「結婚」しているという「意思」があるかどうかが、同棲と事実婚の最大の違いです。


【あなたを守る法律】

憲法 第24条

1 婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻および家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

国民年金法 第5条 用語の定義

7 この法律において、「配偶者」、「夫」および「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。


ほかにも書籍では、恋愛・くらし・しごと・結婚など6つの章だてで、女性に起こりうる様々なトラブルに「どう法的に対処すべきか」が解説されていますので、興味がある方はチェックしてみてくださいね。

【まとめ読み】『おとめ六法』記事リスト

おとめ六法_帯あり.jpg六法やDV防止法、ストーカー規制法...。女性の一生に寄り添う大切な法律が、6章にわたって解説されています。

 

上谷さくら(かみたに・さくら)
弁護士(第一東京弁護士会所属)。犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長。第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。毎日新聞記者を経て、2007年弁護士登録。保護司。

岸本学(きしもと・まなぶ)
弁護士(第一東京弁護士会所属)。第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。人権擁護委員会第5特別部会(両性の平等)委員。民間企業のコンプライアンス統括部門を経て、2008年横浜国立大学法科大学院を卒業。同年司法試験合格。金融庁証券調査官を経て、2010年弁護士登録。

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『おとめ六法』

(上谷さくら、岸本学/KADOKAWA)

恋愛、インターネット、学校、生活、仕事、結婚など、生活に必要な法律の概要を解説しています。従来の一般向けの法律書とは違い、女性の生活各場面に関連する法律をピックアップして分かりやすく解説しています。また、生じたトラブルにへの対処法もあわせて説明しています。女性の一生に寄り添う法律を網羅した、すべての女性の味方になる実用的な一冊です。

★法律相談を大募集!

『おとめ六法』の著者で弁護士の上谷さくら先生に、「あなたの悩み」を相談してみませんか?
「離婚・DVなどの夫婦関係」

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「勤め先でのセクハラ・パワハラ」

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(採用された方の質問に先生が回答し、毎日が発見ネットで記事として掲載させていただきます)

※この記事は『おとめ六法』(上谷さくら、岸本学/KADOKAWA)からの抜粋です。

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