【おかえりモネ】念願の共演でこのセリフ! でも...単なるサービスで終わらない安達脚本の本質/14週目

毎日の生活にドキドキやわくわく、そしてホロリなど様々な感情を届けてくれるNHK連続テレビ小説(通称朝ドラ)。毎日が発見ネットではエンタメライターの田幸和歌子さんに、楽しみ方や豆知識を語っていただく連載をお届けしています。今週は「『おかえりモネ』で描かれた『何食べ』共演」について。あなたはどのように観ましたか?
※本記事にはネタバレが含まれています。

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【おかえりモネ】念願の共演でこのセリフ! でも...単なるサービスで終わらない安達脚本の本質/14週目 メイン.jpg

清原果耶主演のNHK連続テレビ小説(通称朝ドラ)『おかえりモネ』第14週のサブタイトルは「離れられないもの」。

今週は「この日のためにずっと見続けてきた!」「ずっと待っていた」といった声がSNSなどに飛び交う一つの山場となった。

何故なら、百音(清原)の上司である朝岡(西島秀俊)と百音の父・耕治(内野聖陽)の初共演シーンが描かれたから。

西島×内野×本作の脚本家でもある安達奈緒子氏といえば、よしながふみ原作の大人気ドラマ『きのう何食べた?』(通称、何食べ/テレビ東京)のトリオであり、『おかえりモネ』の脚本家とキャストが発表された時点で、『何食べ』ではパートナーだったシロさん(西島)×ケンジ(内野)がどんな関係性で登場するのかに注目する人が多かったのだ。

結果、百音の父と、百音が気象予報の世界に入るきっかけであり上司と、いずれも重要な存在で、共に序盤から出ているにもかかわらず、「気仙沼」「登米」「東京」と主な舞台が3つある作品ゆえに直接の「共演」はここまでなかった。

待ちに待ったシーンは、カキの品評会のために耕治と百音の祖父・龍己(藤竜也)が上京し、翌日、耕治が百音の勤め先のウェザーエキスパーツ社をこっそり訪ねるところで実現する。

一人で機械を移動させようとする朝岡の姿を見て、手伝おうと駆け寄った耕治は百音の父だと名乗り、「いつもテレビで見てるから、初めて会った気がしねえっつうか......」とつぶやく。

念願の共演でこのセリフ、しかも、週のサブタイトルが「離れられないもの」。

若干のあざとさを感じるほど様々な含みのあるファンサービスだ。

しかし、単なるサービスで終わらせないのが、安達脚本。

ここで初めて朝岡が気象予報士として抱えてきた悩みや後悔、災害に見舞われながらも「土地」から離れず生きる人々への思いなどを語り始める。

一方、耕治は百音など若い世代への思いをこう語るのだ。

「どうなっかわかんねえ世の中だ。もう、どこ行ったってかまわねえ。ただ、お前たちの未来は明るいんだって。決して悪くなる一方じゃないって。俺は信じて言い続けてやりたい」

朝岡がこれまで誰にも語らなかった自らの葛藤を、初対面の耕治に話したのは、耕治の明るさ、誰の生き方も否定しないおおらかさに安心感を抱いたためか。

この対面は、朝岡が気象予報の理想を思い出すきっかけともなる。

さらに、耕治は百音と菅波(坂口健太郎)の仲を勘違いし、早とちりで菅波に「百音のことを宜しくお願いします!」と頼んでしまい、結果的に二人の関係を一歩進展させることに。

『何食べ』ファンサービス満載の中に重い過去や、強い思い、そして恋愛など、様々な要素が散りばめられた第14週だった。

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文/田幸和歌子

 

田幸和歌子(たこう・わかこ)
1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経て、フリーランスのライターに。ドラマコラムをweb媒体などで執筆するほか、週刊誌や月刊誌、夕刊紙などで医療、芸能、教育関係の取材や著名人インタビューなどを行う。Yahoo!のエンタメ公式コメンテーター。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)など。

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