万葉集にも「何時毛〻〻〻」と使われている
それぞれの使い方についての詳細は、文部省「くりかへし符号の使ひ方〔をどり字法〕(案)」を参照してください*1。なお、「々」は符号ではありますが、「佐々木」「奈々子」など、姓名に用いてもよいことになっており、「佐々木」と「佐佐木」は、戸籍上では区別されています。
踊り字の起源は古く、中国の殷(いん)の時代から、「=」の形が、漢字を繰り返すことを表すものとして、見られます。日本でも奈良時代以前から使われています。万葉集に、「何時毛〻〻〻」(いつもいつも)とあるなど、二字以上の漢字の繰り返しにも用いられています。平安時代に、平仮名・片仮名がつくられると、仮名の繰り返しにも、はじめは「〻」が用いられましたが、これを略して「ゝ」や「ヽ」の形になったと言われています。
それぞれの形や用法の歴史については、まだ十分な調査が行われていませんが、「★(※くの字)」の形の由来は、当時書かれたままの資料が豊富に残っている、漢文に読み方(訓点)を書き入れた文献(訓点資料)の調査によって、興味深い事実が明らかになっています。
二字以上の繰り返しでは、はじめ「マ、スヽ」(マスマス)のように書いていました。この、一点めの「、」と二点めの「ヽ」がつながって、図2の真ん中のようになり、さらに起筆が二字めの後に下りて、「マス★(※くの字)」と変化し、「★(※くの字)」が成立しました。
ノノ点「〃」は、西洋語や中国語において繰り返しに用いられている例があることから、外国語に由来するものと言われています。
*1―文部省教科書局調査課国語調査室(1946)「くりかへし符号の使ひ方〔をどり字法〕(案)」文化庁参考資料。現行の漢字字体にしたもの。(https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/sanko/pdf/kurikahesi.pdf)
*小林芳規(1967)「踊字の沿革續貂(ぞくちょう)」『広島大学文学部紀要』27巻1号(https://doi.org/10.15027/24915)
*中田祝夫(1954)『古点本の国語学的研究 総論篇』大日本雄弁会講談社