女子中学生の娘に売春を強要していた母。「私も昔、援助交際して、家に金を入れていた」

『裁判長の泣けちゃうお説教』 (長嶺超輝/河出書房新社 )第7回【全10回】

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「人を裁く人」――裁判官。社会の影に隠れ、目立たない立場とも言える彼らの中には、できる限りの範囲で犯罪者の更生に骨を折り、日本の治安を守ろうと努める、偉大な裁判官がいます。

30万部超のベストセラー『裁判官の爆笑お言葉集』(幻冬舎新書)の著者、長嶺超輝さんによる一冊『裁判長の泣けちゃうお説教: 法廷は涙でかすむ』(KAWADE夢新書)は、そんな偉大で魅力あふれる裁判官たちの、法廷での説諭を紹介。日本全国3000件以上の裁判を取材してきたという著者による「裁かれたい裁判官」の言葉に、思わず「泣けちゃう」こと間違いなしです。

※本記事は長嶺超輝著の書籍『裁判長の泣けちゃうお説教』(河出書房新社 )から一部抜粋・編集しました。


女子中学生の娘に売春を強要していた母。「私も昔、援助交際して、家に金を入れていた」 pixta_100356760_M

未成年の娘に身体を売らせて、その金で遊びまわっていた父母。
「若かった頃、自分もそうさせられていた」と開き直る母に、裁判官は何を語ったか?
[2008年12月4日・25日 和歌山家庭裁判所]

金をつくってきな......

15歳の女子中学生に売春をさせたとして、その母親と義理の父親が検挙された事件は、和歌山県内だけでなく、全国的にも報じられました。

お金のために親が娘を売るなどという話は、せいぜい時代劇ぐらいでしか見かけません。

それが現代の日本で実際に横行していたという事実は、大きな衝撃をもって世間で受け止められたのです。

その女子中学生は携帯電話を使いすぎ、母親に叱られていました。

携帯電話会社から保護者あてに数万円単位の請求がきて、家庭内で問題になるのはよくあることです。

ただ、ここからが異常でした。

その母親は実の娘に対して「あんたがやったことなんだから、体を売ってでも金をつくってきな」「私も昔、援助交際をやっていたんだから、なんとも思わん」などと脅して、売春を強要したのです。

そして、男たちから受け取った金銭をすぐさま、義理の父親の銀行口座に振り込ませていたのでした。

そこから母親は味をしめたのか、「あんたのせいでガス代が払えない。ガス会社が取り立てにくるから、さっさとつくれ」などと娘に因縁をつけて、生活費用立てるために、繰り返し売春をさせるようになったようです。

 

長嶺超輝(ながみね・まさき)
フリーランスライター、出版コンサルタント。1975年、長崎生まれ。九州大学法学部卒。大学時代の恩師に勧められて弁護士を目指すも、司法試験に7年連続で不合格を喫し、断念して上京。30万部超のベストセラーとなった『裁判官の爆笑お言葉集』(幻冬舎新書)の刊行をきっかけに、テレビ番組出演や新聞記事掲載、雑誌連載、Web連載などで法律や裁判の魅力をわかりやすく解説するようになる。著書の執筆・出版に注力し、本書が14作目。

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※本記事は長嶺超輝著の書籍『裁判長の泣けちゃうお説教』(河出書房新社 )から一部抜粋・編集しました。

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