コレステロール値は、高めのほうが健康的!? 「敵視」すべきコレステロールの「正体」


コレステロール値は実は高めのほうが健康的

血管内でのLDLコレステロールの悪役ぶりを紹介したあとに、「え!?」と思われるかもしれませんが、実は近年、コレステロールは少し高めのほうが健康的であるとの報告がなされています。

というのもコレステロールには、悪玉と善玉の2種類があるのです。前者のLDLに対して、後者の「HDLコレステロール」には、血液や血管壁にある余分なコレステロールを減らす働きがあり、善玉コレステロールとも呼ばれます。そして、健康診断などで「コレステロール値が高い」というのは、一般的にLDLとHDLを含めた総コレステロール値のことをいうわけです。

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そして最近の調査によって、総コレステロール値が少し高めの人のほうが、実は死亡率は低いということが指摘されるようになりました。調査によって若干の数値に違いはあるものの、最も死亡率が低いのは従来であれば治療が必要とされた、総コレステロール240~259mg/dlの人たちなのです(※)。

なかでも更年期を過ぎた女性や高齢の男性については、総コレステロール値がもっと高い場合でも、心筋梗塞や脳卒中などのリスクは大きくないこともわかってきました。

コレステロールは悪者!と安易に認識することなく、"敵視"するのはLDLコレステロールであることをぜひ知っておきましょう。

※ 旧厚生省が1980年代から実施した「ニッポンデータ」ほかの調査による

 

監修:川嶋 朗(かわしま・あきら)
神奈川歯科大学大学院統合医療学講座特任教授
総合内科専門医・医学博士

1957年、東京生まれ。北海道大学医学部卒業後、東京女子医科大学入局。東京女子医科大学大学院、ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院、東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長、東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科教授・東洋医学研究所付属クリニック自然医療部門医師を経て現職に。日本初の高等教育機関による統合医療教育を設立。漢方をはじめとするさまざまな代替・伝統医療を取り入れ、西洋医学と統合した医療を手がけている。西洋医学の専門は腎臓病、膠原病、高血圧など。統合医療SDM クリニック院長。

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※本記事は川嶋朗 (監修)著の書籍『知らないと怖ろしいカラダの新常識100』(アチーブメント出版)から一部抜粋・編集しました。
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