コレステロール値は実は高めのほうが健康的
血管内でのLDLコレステロールの悪役ぶりを紹介したあとに、「え!?」と思われるかもしれませんが、実は近年、コレステロールは少し高めのほうが健康的であるとの報告がなされています。
というのもコレステロールには、悪玉と善玉の2種類があるのです。前者のLDLに対して、後者の「HDLコレステロール」には、血液や血管壁にある余分なコレステロールを減らす働きがあり、善玉コレステロールとも呼ばれます。そして、健康診断などで「コレステロール値が高い」というのは、一般的にLDLとHDLを含めた総コレステロール値のことをいうわけです。
そして最近の調査によって、総コレステロール値が少し高めの人のほうが、実は死亡率は低いということが指摘されるようになりました。調査によって若干の数値に違いはあるものの、最も死亡率が低いのは従来であれば治療が必要とされた、総コレステロール240~259mg/dlの人たちなのです(※)。
なかでも更年期を過ぎた女性や高齢の男性については、総コレステロール値がもっと高い場合でも、心筋梗塞や脳卒中などのリスクは大きくないこともわかってきました。
コレステロールは悪者!と安易に認識することなく、"敵視"するのはLDLコレステロールであることをぜひ知っておきましょう。
※ 旧厚生省が1980年代から実施した「ニッポンデータ」ほかの調査による