タマゴ論争に決着! タマゴは何個までOKか?
ちなみに、日本では「タマゴは1日1個まで」というのが常識でしたが、2015年に厚生労働省がコレステロールの摂取上限を撤廃したおかげで、「お好きなだけどうぞ」となりました。体内で生成されるコレステロールの量に比べて、口からの摂取は科学的に影響する根拠がないとしたのが理由のひとつです。では、実際のところ、本当にタマゴは大丈夫なのでしょうか?
米国における研究では、コレステロール、またはタマゴ(鶏卵)の摂取量の増加が、心血管疾患の発症および死亡リスクと関連し、量が多いほどリスクが高いことが示されています(
48)。
糖尿病の人は、タマゴの摂取が多いと狭心症や心筋梗塞の発症、または死亡が増加します(
49)。実際のところ、科学的にはコレステロールの摂取量が血中脂質に及ぼす影響には個人差があり、「タマゴの摂取でも悪玉(LDL)は増加しなかった」とする報告もあります(
50)。
まとめると、『日本人の食事摂取基準(2020年版)』(厚生労働省)では、脂質異常の重症化を予防するために、コレステロールの摂取は1日200mg未満にすることが推奨されていて、「もともとLDL(悪玉)が高くない人でも、コレステロールの摂取は低めに抑えるべきだ」と考えればいいでしょう。
ただ、タマゴには1個につき約250mgのコレステロールが含まれています。厚労省が提唱する1日の適正摂取量が200mg未満なので、なんと1個でそれ以上をカラダに入れてしまうことになります。
実際に体内でそれほど増えるわけではありませんが、コレステロール値が高いと診断された人は、体内で生成される量とのバランスがうまくとれていないこともあるので、上限が撤廃されたからといってたくさん食べるのは、控えたほうがよいでしょう。
現代は、栄養のとり過ぎで病気になる時代なのです。
参考文献:48) "Zhong VW,et al. Associations of dietary cholesterol or egg consumption with incident
cardiovascular disease and mortality.JAMA 2019;321:1081-95."
49) "Shin JY, et al. Egg consumption in relation to risk of cardiovascular disease and diabetes: a systematic review and meta-analysis. Am J Clin Nutr 2013;98:146-59."
50) "Djoussé L,et al. Dietary cholesterol and coronary artery disease: a systematic review. Curr
Atheroscler Rep 2009;11:418-22."