日本において年間38万人以上ががんで亡くなる中、大腸がんが女性のがん死因第1位となっています。特に50歳を過ぎると罹患率が高まりますが、早期発見することで内視鏡的治療による完治が期待できます。今回は国立がん研究センターの斎藤豊先生にお話を聞きました。
この記事は月刊誌『毎日が発見』2024年4月号に掲載の情報です。
罹患数は50歳頃から増え、高齢になるほど多くなる
出典:国立研究開発法人国立がん研究センター がん情報サービス
女性は低い検診受診率 早期発見が何より大事
日本では年間38万人以上が「がん」で亡くなり、女性のがん死因第1位は大腸がんです。
罹患数も多く、女性は第2位です。
50歳頃から増加が見られ、年齢が進むにつれてその数は増えていきますが、大腸がんは決して治療が困難な病気ではありません。
「大腸がんが腸内の粘膜の表面に留まるステージ0(ステージ1よりも早期段階)であれば、ほとんど内視鏡的治療で完治できます。早期段階で大腸がんを見つけられれば、肉体的にも経済的にも負担は少なくなります」と、斎藤豊先生は説明します。
大腸がんは早期の発見・治療で治る可能性が高いですが、発見が遅れると、がんは腸内の粘膜の下まで広がって進行がんになります。
大腸がんの5年生存率は、早期段階のステージ1では92.3%、肝臓や肺など大腸以外の臓器に転移した進行がんのステージ4では18.3%にまで低下します。
「大腸がんは、残念ながら進行がんで見つかるケースが依然として多いがんです。その原因の一つが、検診の受診率の低さにあります。女性は男性よりも大腸がん検診の受診率が低く、約4割に留まっています」と、斎藤先生。
大腸がん検診の受診率が低い理由について調べた研究では、「症状がないから受けない」と回答した人が多かったそうです。
風邪をひけば、発熱し、せきや鼻水といった症状が出ます。
でも、大腸がんは腸内に発症しても、早期段階では熱も出なければ、痛みも感じません。
無症状で体調も悪くないのに、体内でがんが進行しているとは思わないでしょう。
「多くのがんは早期段階では自覚症状に乏しいですが、大腸がんの場合、血便や痛みなどの症状が出たときには進行していることがほとんどです。だからこそ、定期的に大腸がん検診を受診して早期発見・早期治療につなげていただきたいと思います」と、斎藤先生は話します。