精神科医の和田秀樹先生に教わる「高齢者のうつ病を予防する7つのポイント」

【5】映画や読書で感情を動かす
セロトニン神経の活性化には、感情を大きく動かすこともいいとされています。ただし、あまりに落ち込むのは逆効果です。

日常で感情が揺さぶられるような行為をするというのは難しいかもしれませんが、話のネタが豊富な人との会話を楽しんだり、ドラマチックな映画を観たり、展開が激しいストーリーの本を読むというのは、セロトニン分泌に有効です。テレビは万人受けのものを作りがちで、あまり感情を揺すぶってくれないことが多いので、DVDを借りてきて映画を観たり、ネットフリックスやアマゾンプライムなどで評判のいい作品を選んで観るのがおすすめです。

【6】十分な睡眠で脳の疲れをとる
セロトニン分泌に大きな影響を与えるとされるのが、睡眠です。十分な睡眠がとれて脳の疲労が解消されれば、セロトニン神経は活性化するとされています。逆に、睡眠不足はセロトニンの枯渇につながるとされています。先に触れた通り、午前中に日光を浴びると、夕方以降にメラトニンの分泌が盛んになり眠りやすくなります。

メラトニンはセロトニンと同様に、年齢とともにその量が減っていきます。そのため高齢になると、どうしても睡眠時間は短くなりがちです。ですから歳を取るほど、午前中に日の光を浴びて眠りにつきやすいリズムを作ることが、なおさら大事になってくるのです。

【7】ひとり酒や寝酒は避ける
最後に飲酒についてですが、アルコールはセロトニンを枯渇させる作用があるとされています。お酒を飲むことによって、ストレス解消になったり、仲間と飲んで感情が湧き立ったり、よく眠れたりするというのであれば、アルコールによるセロトニンの減少を上回るセロトニンの増加が生じることもあります。そうでない場合は、飲酒によってセロトニンを減らしてしまうことになります。

ひとり酒や眠れないからといっての深酒は、うつになるリスクを高めてしまいます。できるだけ避けたほうがいいということも付け加えておきましょう。

 

<教えてくれた人>

和田秀樹(わだ・ひでき)先生

東京大学医学部卒業。精神科医。ルネクリニック東京院院長。高齢者専門の精神科医として30年以上にわたり高齢者医療の現場に携わる。近著『80歳の壁』(幻冬舎新書)は59万部を超えるベストセラー。他、著書多数。

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『65歳からおとずれる 老人性うつの壁』

(和田秀樹/KADOKAWA)

1078 円(税込)

幸福な高齢者になるには、65歳からおとずれる「老人性うつ病」の壁を乗り越えることが必須。30年以上にわたって高齢者の精神医療に携わってきた著者が教える「うつに強い人間になって、人生を楽しむための一冊」。

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