インプラント、ブリッジ、部分入れ歯。「3種類の義歯」の違いを和田淳一郎先生が解説

歯周病や虫歯で歯を失った場合、代わりに義歯を使うことになります。ブリッジ、部分入れ歯、インプラントの3種類の義歯から選ぶことになります。今回は東京医科歯科大学 講師の和田淳一郎先生に選び方などのポイントをお聞きしました。

この記事は月刊誌『毎日が発見』2024年2月号に掲載の情報です。

【前回】失った歯の代わりはどうする? 自分にあった義歯の選び方【和田淳一郎先生が解説】

全身の健康に関わる歯の
定期検診を受けましょう

和田先生によると、最も失いやすい歯は、下は一番奥から2番目の奥歯が虫歯になりやすく、上は一番奥とその手前の2本が歯周病になりやすいそうです。

加えて、60代以降は上の前歯を失いやすいとも。

奥歯が失われると前歯でかむことが増えますが、上の前歯はまっすぐではなく斜め前方に生えています。

そのため、強い力でかむと下の歯で斜めに突き上げられるような力が加わり、失うのです。

一番奥の歯が抜けた場合は、支柱となるべき両隣の歯の一方がないため、ブリッジは装着できません。

選べるのは部分入れ歯かインプラントとなります。

「ですが、一番奥の抜歯は、食事に悪影響がなければ、部分入れ歯やインプラントを入れずにそのまま、という選択肢もあります。抜けた最奥歯を放置することは世界的にも認められています。患者さんが望めば、抜歯のまま経過観察というケースも珍しくはありません」と、和田先生。

とはいっても「8020運動(80歳になっても自分の歯を20本以上保つこと)」を心がけるに越したことはありません。

歯が健康であることは、体の健康にもつながっています。

正しくかむことによってさまざまな食品を摂ることができ、消化機能が維持され、脳への刺激も期待できるからです。

近年は口の病気と、糖尿病や心臓病などとの関連も報告されるようになりました。

「できれば健康な天然歯を維持していただきたいですが、無理な場合はきちんと治療を受けましょう。歯や口の中の不調を早い段階で知るためにも、定期的に歯科検診を受けることがなにより大切です」

<達人のツボ①>
「かむ力」と認知症の関係

「アルツハイマー型認知症」は、歯の喪失が発症リスクになることが報告されています。近年の研究では、歯がほとんどなく義歯も使用していない人は認知症リスクが高く、義歯を使用していると天然歯の人と同等にリスクが低減することも分かっています。しっかりかんで食べることが、認知症の予防につながるといえます。

 

東京医科歯科大学  生体補綴歯科学分野  講師
和田淳一郎(わだ・じゅんいちろう)先生

東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻口腔機能再構築学講座 生体補綴歯科学分野講師。歯学博士。2006年、東京医科歯科大学卒。同大病院回復系診療科義歯外来などを経て23年より現職。

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