最近の自粛生活で会話が減って...という方、いませんか? ひょっとすると唾液の分泌が減り、口腔環境が悪化しているかもしれません。実は唾液には、最先端の消毒液にも匹敵する殺菌効果が備わっているんだそう。そこで、唾液の分泌を促す「殺菌ベロ回し」を開発された坂本紗有見先生に、そのやり方や効果などを詳しく教えていただきました。
唾液は"天然の消毒液"。歯周病を防いで病気を予防
厚生労働省によると、日本人の約8割は歯周病を患っているそうです。
主な原因は、唾液の不足。
「唾液には殺菌力があり、歯周病や虫歯を防いでくれます。歯周病やその毒素は、糖尿病などの生活習慣病、骨粗鬆症、誤嚥性肺炎などの原因になることが分かっています。2019年には、アルツハイマー病患者の脳内に歯周病の細菌が検出されたというアメリカの論文も発表されました」と、坂本紗有見先生。
唾液を出して歯周病や虫歯を防ぐことが、全身疾患の予防につながるといいます。
それには「殺菌ベロ回し」が効果的。
さっそく始めてみましょう。
道具不要でいつでもどこでもできる「1分間殺菌ベロ回し」
口を閉じて1セット1分、舌を回すだけ。口を閉じる筋肉トレーニングや、口腔内乾燥やウイルス感染の原因となる口呼吸の防止にも。
「1分間殺菌ベロ回し」の5つの効果
- 歯周病・虫歯・口臭の予防
- 誤嚥性肺炎の予防
- 生活習慣病の予防
- 認知症の予防
- リフトアップで美容効果
1回1分! たっぷりの唾液で"美口"と若々しさを保つ
「殺菌ベロ回し」は、舌を動かすことで舌本来の機能を取り戻し、唾液の分泌を促す運動です。
唾液の消毒作用で歯周病などを防ぐほか、舌を鍛える効果も。
「舌は筋肉の塊で、自分の意思で自由に動かすことができます。筋肉は鍛えれば発達するので、かむ、飲み込む、呼吸、発音といった口の機能が改善されます」(坂本先生)。
顎も引き締まり、唾液腺から美容ホルモン「パロチン」が分泌されて若々しい顔を作る効果もあるそう。
唾液の分泌量が減るのはストレスやかまない食生活、高齢化などが主な原因。
歯周病や虫歯で歯を失ったり、かめなくなったりするとさらに唾液が出にくくなる悪循環も引き起こします。
「最近の自粛生活では、会話が少なくなって唾液の分泌も減り、人に会わないからと歯磨きを怠る人も多く、口腔環境は悪化しています。『殺菌ベロ回し』はマスクの下でもできるので、清潔で機能的な〝美口〟を目指しましょう」(坂本先生)
基本の「1分間殺菌ベロ回し」
●毎日3回、食後に行います。
●1~6で1セット。1セット1分間でOK 。
●口は閉じた状態で!
●ゆっくり!しっかり!が大切。
→1セット1分×1日3回
1.ベロを伸ばし、歯茎の表面を右上からゆっくり円を描くように右下へぐるりと回す
2.そのまま折り返し、右下から右上まで戻る
3.歯茎の裏側を左下から左上へなぞる
4.折り返して、下6秒裏側の左上から左下へなぞる
5.上顎のいちばん奥の左右の歯に触る
6.下顎のいちばん奥の左右の歯に触る
驚くべき、唾液が持つ8つのパワー
- 自浄効果
- 歯の再石灰化作用
- 咀しゃく補助
- 免疫作用
- 抗菌作用
- 消化作用
- 歯の保護(円滑)作用
- pH緩衝作用
口内に常時2~3mlほど分泌されている唾液には、最先端の消毒液にも匹敵する殺菌効果が備わっています。
唾液にはサラサラ、ネバネバの2種があり、前者は抗菌作用、後者は保湿や細菌を絡め取る効果があります。
口内の悪玉菌を抑制し、「ロイテリ菌」や「L8020菌」といった乳酸菌(善玉菌)を増やして口内環境を整える働きも。
虫歯の原因となるpH値(酸性・アルカリ性の程度を表す数値)のバランスを保つ役割もあります。
【まとめ読み】特集「1分間殺菌ベロ回しの5つの効果」記事リスト
取材・文/岡田知子(BLOOM) イラスト/入江めぐみ