「ひざの水」の正体って何? ひざに溜まった水を抜くとクセになると言われる「本当の理由」

ひざの水が繰り返し溜まる理由

つまり、注射によって水を抜くとクセになるから水が溜まってくるわけではなく、関節内の炎症が治まっていないため、針を刺して水を抜いても水がまた溜まってくることになるのです。そのため、最優先に考えるべきは、炎症を引き起こしている原因疾患を治療することになります。

なお、ひざに水が溜まると、特にひざのお皿の上のあたりが腫(は)れている気がする......と気づいて来院される方が多い印象です。そのほかに、「ひざがだるいような違和感がある」「ひざが突っ張るような感じがある」「ひざの曲げ伸ばしがやりにくく感じる」といった自覚症状を感じる方が多いでしょう。

過剰にひざに水が溜まってしまった場合、関節内の内圧が高まり、痛みが出てくることがあります。

また、ひざに水が溜まって腫れた状態が続けば、日常生活にも支障が出てくる可能性があります。痛みや可動域制限が気になり歩行量が減ってしまったりすると、下肢の筋力も徐々に低下し、ひざ関節によけいな負担がかかるようになります。それが、さらに炎症を長引かせることにつながってしまう恐れもあります。

では、このようにひざに水が溜まってしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

痛みが強く出たり、曲げられないほどひざに水が溜まってしまっている場合には、早めに水を抜いてあげることがすすめられます。水を抜くだけでこれらの症状がしばらく改善することが多いでしょう。

前述したとおり、ひざに水が溜まる病気はたくさんあるので、原因を調べ、治療を進めていく必要があります。

ひざに水が溜まったかな? と思うようでしたら、まずは整形外科を受診してみましょう。

 

おると
整形外科専門医。診療にあたりながら、自身の転職経験をもとにしたブログ「フリドク」やX(旧Twitter)を2018年より開始。正しい医療をわかりやすく発信するスタイルや世間のネットニュースについての専門医目線での解説、ニセ医療解説などが大きな反響を呼び、現在12万人を超えるフォロワーを有する(2024年2月時点)

※本記事はおると著の書籍『整形外科医が教える 家族の身体を守る医学的ライフハック』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。
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