女性の「いびき」のきっかけは閉経が多。女性ホルモンと「舌力」、いびきの関係【チェックリストあり】

中高年になると、女性もいびきをかきやすい

いびき人口の男女比はおよそ2:1。女性でいびきをかく人は男性の半数ですが、女性では中高年になるといびきがひどくなる傾向にあります。

そのきっかけとなるのは、閉経です。

閉経でいびきがひどくなるのは、卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)が減少するため。

エストロゲンには女性の生殖に関わる機能を保つ働きがありますが、それ以外にも舌筋を緊張させる働きがあります。閉経前の40代からエストロゲンの分泌量は減少し、閉経後は分泌がほぼなくなるため、舌筋が緩んで落ち舌が起こりやすくなり、いびきがひどくなるのです。

さらに、エストロゲンには、お腹の中の内臓脂肪の代謝を促し、お腹に体脂肪をつきにくくする作用もあります。

閉経後、エストロゲンの働きが失われると、余った脂肪は内臓脂肪にも誘導されやすくなります。女性に多い洋ナシ型(皮下脂肪型)肥満から、男性に多いリンゴ型(内臓脂肪型)肥満へとスイッチしやすくなるのです。

リンゴ型肥満では、内臓以外でもあちこちに脂肪が蓄積するようになります。その蓄積先の一つが、舌や気道のまわり。

お腹が内側からせり出すほど太ってきたら、若い頃よりもいびきが起こりやすくなっていると覚悟したほうが良いでしょう。

 

桂文裕
医療法人秀康会ましきクリニック院長。医学博士/日本耳鼻咽喉科学会専門医/上益城郡医師会理事。1964年、熊本生まれ。熊本大学医学部を卒業し耳鼻咽喉アレルギー科を専攻。大学病院時代は頭頸部がん治療に従事し、がん手術や最先端の免疫治療を行い治療成績の向上に貢献。舌との関わは深く「舌がんに対するリンパ球免疫療法」のテーマで医学博士を取得。2003年、熊本県益城町に「ましきクリニック」を開設。2016年に起きた熊本地震によって甚大な被害を受けたが、復興活動や避難住民の健康管理に携わり、「病気にならない町づくり」が自分の使命と確信。イベントや健康セミナーを定期的に開催し、町を元気にする活動を続ける。耳鼻咽喉科専門医として舌を診た患者数はのべ数十万人に及び「舌博士」としてマスコミにも出演多数。著書に、『12人の医院経営ケースファイル』(共著、中外医学社)、『健康医学』(共著、フローラル出版)がある。

※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています


※本記事は桂文裕著の書籍『舌こそ最強の臓器』(かんき出版)から一部抜粋・編集しました。

この記事に関連する「健康」のキーワード

PAGE TOP