女性の「いびき」のきっかけは閉経が多。女性ホルモンと「舌力」、いびきの関係【チェックリストあり】

【本作を第1回から読む】あなたは大丈夫? 「舌」の状態からカラダの調子をチェックできる5つのポイント

『舌こそ最強の臓器』 (桂文裕/かんき出版)第5回【全5回】

食事から発声、さらに呼吸や体のバランス維持まで、「内臓の鏡」と呼ばれる舌は、私たちの想像以上に多くの役割を持つ「臓器」です。しかし、私たちが舌について知っていることはごくわずか。耳鼻咽喉科専門医・桂文裕先生による『舌こそ最強の臓器』は知られざる「舌」の役割を知り、健康維持に活かすための一冊です。本書から、私たちの健康に深くかかわる舌を使った健康法を紹介します。

※本記事は桂文裕著の書籍『舌こそ最強の臓器』(かんき出版)から一部抜粋・編集しました。


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快眠を妨げるいびきも、舌力の低下から始まる

健康の基本のキは、量質ともに十分な睡眠。睡眠には心身の疲れやストレスを癒して、記憶や学習を進め、アンチエイジングを助ける作用もあります。

その大切な眠りを邪魔する天敵が、いびき。

日本のいびき人口は、少なくとも2000万人以上、ことに中高年男性のおよそ6割はいびきをかくとされています。いびきというと肥満の男性に多い印象ですが、やせている女性でもいびきは起こります。

いびきも軽いうちは自分では気づきにくいので、パートナーや配偶者などに指摘されて気づくケースがほとんどでしょう。

いびきとは、睡眠中に舌やのどの奥の筋肉が緩んで気道が狭くなり、呼吸で空気が出入りするたびに粘膜が震えて起こる乱気流音です。

仰向けになると、重力で舌やのどの奥の筋肉が下がり、気道が狭くなるため、空気の通りは多少悪くなります。ところが、後述するような理由により、より気道が狭くなると、いびきが生じるのです。

いびきがあると、呼吸が乱れて体内に必要な酸素が供給されなくなるため、睡眠による健康へのポジティブな作用が期待できなくなります。

とくに、下に挙げたような自覚がある方は、いびきを伴う、睡眠呼吸障害を起こしている可能性があります。

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いびきは、いろいろな要素が絡み合って現れます。

なかでも次の4つが大きく関与しています。

(1)舌力の低下:落ち舌、口呼吸がクセになっている
(2)骨格:アゴが小さい、首が短く太い、歯列が狭い
(3)のどの形状:扁桃腺が大きい、のどちんこが長い・大きい
(4)肥満:首周りに体脂肪がついている

真っ先に問題になるのは、(1)舌力の低下です。

加齢に伴い、いびきをかく人は増えてきます。その背景にあるのが、舌力の低下。30代以降で運動不足だと筋肉は衰えやすくなります。舌も筋肉ですから、咀嚼を意識するなどして鍛えていない限り、舌力は少しずつ低下していきます。

とくに、若いときはいびきをかかなかったのに、歳を重ねるとともにいびきをかくようになった人は、年齢とともに舌力が低下し、落ち舌となっていることが大きな要因と考えられます。

(2)骨格と(3)のどの形状は、遺伝や幼少期の過ごし方によってある程度決まっており、生活習慣を変えたとしても、大きく変わることはありません。ですから、思い当たる点が少しでもあったら、いびきをかいていないか、パートナーや配偶者などにヒアリングをしながら、人一倍注意するようにしてください。ことに、日本人を含めたアジア人は、(2)骨格的にいびきをかきやすい(平たい顔で鼻が低く頭部の奥行きが浅い、アゴが小さく口腔が狭い)と言われています。

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また、加齢とともに、筋肉が減ってくると、太りやすくなります。

私たちが1日に消費しているエネルギーのおよそ60%は、基礎代謝。呼吸、消化吸収、血液循環、体温維持といった生きるために必要な機能をまかなうために消費されています。その20%を担っているのが、筋肉。ですから、筋肉が減ると基礎代謝も消費エネルギーもダウンしやすくなり、その分だけエネルギー過多となりやすく、体脂肪がつきやすくなるのです。

(4)肥満で体脂肪がつくと、気道も狭くなりやすくなります。太ってきて、とくに二重アゴになるなど、首まわりに脂肪がついてきたら、気道のまわりにも脂肪がついている可能性が高いでしょう。

 

桂文裕
医療法人秀康会ましきクリニック院長。医学博士/日本耳鼻咽喉科学会専門医/上益城郡医師会理事。1964年、熊本生まれ。熊本大学医学部を卒業し耳鼻咽喉アレルギー科を専攻。大学病院時代は頭頸部がん治療に従事し、がん手術や最先端の免疫治療を行い治療成績の向上に貢献。舌との関わは深く「舌がんに対するリンパ球免疫療法」のテーマで医学博士を取得。2003年、熊本県益城町に「ましきクリニック」を開設。2016年に起きた熊本地震によって甚大な被害を受けたが、復興活動や避難住民の健康管理に携わり、「病気にならない町づくり」が自分の使命と確信。イベントや健康セミナーを定期的に開催し、町を元気にする活動を続ける。耳鼻咽喉科専門医として舌を診た患者数はのべ数十万人に及び「舌博士」としてマスコミにも出演多数。著書に、『12人の医院経営ケースファイル』(共著、中外医学社)、『健康医学』(共著、フローラル出版)がある。

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※本記事は桂文裕著の書籍『舌こそ最強の臓器』(かんき出版)から一部抜粋・編集しました。

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