「滑舌の悪さ」は口の機能が衰えたサインかも。「口の老化」セルフチェックとセルフトレーニング

滑舌の悪さは、口の機能が衰えていることを知らせるサイン。普段から関心を寄せることが大切です。今回は、日本歯科大学教授 口腔リハビリテーション 多摩クリニック院長の菊谷 武(きくたに・たけし)先生に「滑舌が悪くなる原因と対処法」についてお聞きしました。

主な要因
口を巧みに動かす機能の衰え
舌や口周りの筋力の低下
口腔内環境の不具合

主な対処法
定期的な歯科受診
日頃の口腔ケア、正しい食事、全身運動
舌や口の動きを鍛えるトレーニング

まずは歯科受診を!

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虫歯や歯周病などの治療、義歯やかみ合わせなどの調整をすることが先決。口腔機能が低下しているかどうかを検査できる歯科もある。


「最近、滑舌が悪くなってきた」と感じている方は、もしかしたら、口の機能が衰えている(=オーラルフレイル※)サインかもしれません。

加齢とともに口の巧みな動きを制御する機能が衰えたり、舌や口周りの筋力が低下したりすることによって発症します。

歯のかみ合わせの不具合などを放置し、柔らかいものばかり食べていたり、昨今のマスク生活で、口元に笑顔を作ったり、会話をしたりする機会が減っていることも、口の機能を一層低下させています。

オーラルフレイルを放置していると、食べにくい食品を避けたり、食が細くなったりして、栄養の偏りや不足を招き、全身の機能低下につながります。

食べ物が誤って気道に入って起こる誤嚥性肺炎になったり、食べ物が気道の入り口に詰まって窒息したりする恐れもあります。

食べることや話すことは当たり前過ぎて見過ごされがちですが、最も重要な機能です。

普段から関心を寄せることが大切です。

※オーラルは口、フレイルは虚弱という意味の言葉。


あなたの口の老化はどれくらい?

点数の合計が3点以上となった方は歯科医院で専門的な対応が必要。

オーラルフレイル 簡単チェックリスト

□ 半年前と比べて、堅いものが食べにくくなった  はい(2点)/いいえ(0点)
□ お茶や汁物でむせることがある はい(2点)/いいえ(0点)
□ 義歯を使用している(※)  はい(2点)/いいえ(0点)
□ 口の乾きが気になる  はい(1点)/いいえ(0点)
□ 半年前と比べて、外出が少なくなった  はい(1点)/いいえ(0点)
□ さきいか・たくあんくらいの堅さの食べ物をかむことができる  はい(0点)/いいえ(1点)
□ 1日に2回以上、歯を磨く  はい(0点)/いいえ(1点)
□ 1年に1回以上、歯科医院を受診している  はい(0点)/いいえ(1点)

合計の点数が
 0~2点:オーラルフレイルの危険性は低い
 3点:オーラルフレイルの危険性あり
 4点以上:オーラルフレイルの危険性が高い

※東京大学高齢社会総合研究機構 田中友規、飯島勝矢:作表

※歯を失ってしまった場合は、義歯などを適切に使って、いろいろなものを食べることができるよう、治療を受けることが大切。


自覚症状が出る前に早期の発見が大切!

オーラルフレイルかどうかは上のチェックリストで確認することができます。

ただし、口の老化は徐々に進み、気付きにくいので、自覚症状がない方も一度歯科で検査することをおすすめします。

60代はこれまでの蓄積が不具合として表面化してくる世代です。

10~20年後を見据えて、このタイミングで、「かめる口腔内環境」を再構築しておくことが大切です。

特に男性は現役時代に勤務先近くの歯科に通っていた方が多いので、いまのうちに地元にかかりつけ歯科医を見つけておきましょう。

口腔機能低下症の検査ができる歯科もあります(65歳以上は保険適用内)。

口の中の乾燥度合い、舌の汚れ、かむ力、かみ砕いてのみ込む力、舌の力など7項目の検査を行います。

3項目以上で機能の低下が見られると、口腔機能低下症と診断されます。

急激に口の老化を感じた場合は、パーキンソン病や脳梗塞など重大な病気の疑いがあります。

年齢のせいにせず、早めに内科や歯科を受診してください。

トレーニング方法は上記の他、早口言葉を5回繰り返す方法も有効です。

マスクの下でできるものもあるので、ぜひ試してみてください。

また、日頃の歯磨きによる歯や歯茎のケアの他、多種多品目の食材・かみ応えのある食品の摂取、適度な全身運動も心がけましょう。

筋肉の元となるたんぱく質を取り込める体作りに役立ちます。

マスクの下の笑顔も忘れずに。

《滑舌を良くするセルフトレーニング》

舌や口周りの動きを改善する。オーラルフレイルの予防にも有効。

舌ぐるぐる体操

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舌の筋トレ!

(1)唇を閉じ、舌の先を片側の頰の内側に強く押しつける。

(2)舌に力を入れたまま、上唇の裏側を通って、反対側の頰まで動かす。

(3)さらに下唇の裏側を通って、最初の位置まで舌を動かす。

※右回り、左回り各3回ずつを1セットとして、1日3 ~5セット。

舌の突き出し体操

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舌の巧みな動きを鍛える!

(1)舌を思い切り突き出す。

(2)突き出した舌を引っ込める。この二つの動作をできるだけ速く、リズミカルに行う。

※10回を1セットとして、1日3~5セット。

「うー」「いー」体操

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口の巧みな動きを鍛える!

(1)「うー」と唇をとがらせる。

(2)次に「いー」と唇を大きく横に引く。この二つの動作をできるだけ大きく、速く繰り返す。

※10回を1セットとして、3セットを1日2〜3回。

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取材・文/古谷玲子 イラスト/片岡圭子

 

<教えてくれた人>

日本歯科大学教授 口腔リハビリテーション 多摩クリニック院長
菊谷 武(きくたに・たけし)先生

1988年日本歯科大学卒業。歯学博士。専門は高齢者の摂食・嚥下リハビリテーション。『基礎から学ぶ口腔ケア』(学研メディカル秀潤社)を監修。他著書多数あり。

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この記事は『毎日が発見』2022年4月号に掲載の情報です。

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