「舌力」低下が肩こりの原因に!? 舌が深く関係する「鼻呼吸」を定着させる、おすすめ「マイルール」

【本作を第1回から読む】あなたは大丈夫? 「舌」の状態からカラダの調子をチェックできる5つのポイント

『舌こそ最強の臓器』 (桂文裕/かんき出版)第4回【全5回】

食事から発声、さらに呼吸や体のバランス維持まで、「内臓の鏡」と呼ばれる舌は、私たちの想像以上に多くの役割を持つ「臓器」です。しかし、私たちが舌について知っていることはごくわずか。耳鼻咽喉科専門医・桂文裕先生による『舌こそ最強の臓器』は知られざる「舌」の役割を知り、健康維持に活かすための一冊です。本書から、私たちの健康に深くかかわる舌を使った健康法を紹介します。

※本記事は桂文裕著の書籍『舌こそ最強の臓器』(かんき出版)から一部抜粋・編集しました。


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口呼吸になってしまうのは舌のせいかも

呼吸で取り入れた酸素は、全身のあらゆる細胞がエネルギーを代謝するのに絶対に欠かせないもの。そして、代謝の結果生じた二酸化炭素を体外へ排出するのも呼吸の役割です。

案外知られていませんが、生きていくために欠かせないこの呼吸にも、舌は深く関わっています。

もちろん呼吸の主役となっているのは、左右一対の肺です。肺は、肋骨や胸椎(きょうつい)などからなる「胸郭(きょうかく)」という鳥カゴのようなフレームに収められています。

呼吸を助ける筋肉を「呼吸筋」といいますが、実は舌も呼吸筋の仲間だと考えられています。

呼吸筋としての舌の働き

舌は呼吸筋の一部だと言われても、多くの方はピンと来ないでしょう。

肺自体は風船のようなもので、自分で膨らんだり、縮んだりできません。そこで活躍するのが、呼吸筋です。

呼吸筋のなかでも、とくに大切な役割を果たしているのは横隔膜。胸郭の底をドーム状に覆っています。横隔膜は「膜」ではなく筋肉。焼肉で焼いて食べる「ハラミ」や「サガリ」は、牛の横隔膜の部分です。

息を吸うときには、横隔膜が収縮して下がり、胸郭のボリュームが広がります。同時に、肋骨につく外肋間筋が胸郭を引き上げながら広げます。

息を吐くときには、横隔膜が緩んで上がり、胸郭のスペースが狭くなります。同時に、外肋間筋の内側にある内肋間筋により、胸郭は下がりながら狭くなります。

このように呼吸筋の主役である横隔膜や肋間筋と、舌は筋膜を介して連携しています。

息を吸うときは、横隔膜が収縮するより一瞬だけ先に、舌の筋肉が前方へと動き、息を吸うことを助けています。

そして息を吐くときは、横隔膜が緩むより一瞬だけ先に、舌の筋肉が後方に移動して、息を吐くことを助けています。

横隔膜などと連携しながら、舌はリズミカルに動き、酸素と二酸化炭素のガス交換を手助けしているのです。大きく深い呼吸をすることで舌も大きく動き、呼吸機能もアップします。

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桂文裕
医療法人秀康会ましきクリニック院長。医学博士/日本耳鼻咽喉科学会専門医/上益城郡医師会理事。1964年、熊本生まれ。熊本大学医学部を卒業し耳鼻咽喉アレルギー科を専攻。大学病院時代は頭頸部がん治療に従事し、がん手術や最先端の免疫治療を行い治療成績の向上に貢献。舌との関わは深く「舌がんに対するリンパ球免疫療法」のテーマで医学博士を取得。2003年、熊本県益城町に「ましきクリニック」を開設。2016年に起きた熊本地震によって甚大な被害を受けたが、復興活動や避難住民の健康管理に携わり、「病気にならない町づくり」が自分の使命と確信。イベントや健康セミナーを定期的に開催し、町を元気にする活動を続ける。耳鼻咽喉科専門医として舌を診た患者数はのべ数十万人に及び「舌博士」としてマスコミにも出演多数。著書に、『12人の医院経営ケースファイル』(共著、中外医学社)、『健康医学』(共著、フローラル出版)がある。

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※本記事は桂文裕著の書籍『舌こそ最強の臓器』(かんき出版)から一部抜粋・編集しました。

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