【前回】閉経後は要注意! 脳梗塞などのリスクも高くなる「脂質異常症」セルフチェック【医学博士の栗原先生が指南】
健康診断などで目にする「LDL(悪玉)コレステロール値」、ほかにHDL(善玉)コレステロールや中性脂肪の値が異常になると「脂質異常」と診断されます。とはいえコレステロールは体を維持するためには必要なものです。今回は、脂質異常症を予防・改善する生活習慣について医学博士の栗原先生にお話をお聞きしました。
この記事は月刊誌『毎日が発見』2023年10月号に掲載の情報です。
<達人のツボ>
脂質異常症の検査方法
健康診断などの血液検査で、LDL(悪玉)コレステロール、HDL(善玉)コレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)、Non-HDLコレステロール(総コレステロールからHDLコレステロールを除いた値)の数値を調べます。
小型LDL(超悪玉)コレステロールは、2021年10月に検査キットが承認され、健康診断や人間ドックで導入する医療機関もありますが、まだ少なく「誰もが受けられるとはいいがたい状況です」(栗原先生)
炭水化物を減らし
体の活動量を上げる
脂質異常症は、食習慣や生活習慣を見直すことで予防・改善が可能です。
ポイントは、「たんぱく質をしっかり摂り、体を動かすこと」です。
LDL(悪玉)コレステロール値は動物性脂肪の摂取によって高くなりやすいため、脂質異常症と診断されると、肉類や卵を控えるようにいわれるのが一般的です。
その分、ご飯やパンなどを多く食べる人がいますが、これは禁物。
「ご飯などの炭水化物は、体内で糖質に変わり、余分な糖質は中性脂肪に変わります。症状の悪化を防ぐには、肉類や卵をしっかり食べ、ご飯やパン、麺類の量を半分に減らしましょう」と、栗原先生。
肉類や卵、青魚、豆腐などに含まれるたんぱく質は、筋肉の材料になります。
たんぱく質を摂って体を動かすと筋肉量が増え、糖を燃焼しやすくなり、中性脂肪の増え過ぎを防ぐことができます。
症状が改善しない場合は、スタチン系薬が処方されますが、単にLDL(悪玉)コレステロール値が高いだけでは「服薬が必要ない場合も多くあります」と栗原先生。
スタチン系薬は細胞内で重要な役割を担うビタミン様物質「コエンザイムQ10」の合成を阻害する副作用があります。
そのため、過剰なスタチン系薬は服用しない方が良いそうです。
「漠然と薬を服用するのではなく、コレステロール値が高い原因を知り、本当にその薬が必要かどうか、医師とよく相談することが大切です。もちろん、薬が必要な人もいますが、服用で症状が悪化する場合があることも覚えておきましょう」