血管性認知症やアルツハイマーのリスクも。血管をもろくする脂質異常に注意

65歳以上の認知症患者は、なんと、およそ5人に1人! 人生100年と言われる現在、身体の寿命と同じように、脳の健康を延ばすことが人間の長生きの幸せなのではないでしょうか。そこで今回は、順天堂大学名誉教授で、アルツハイマー治療で日本トップの新井平伊先生による『脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法』(文藝春秋)より、「脳の健康」を保つ方法を連載形式でご紹介します。

【前回:生活習慣病の中でも、脳に最もよくない! 認知症になりやすい病気とは?】

pixta_46189033_S.jpg

脂質異常症は血管をもろくする

脂質異常症も、自覚症状が現れないのが特徴です。

症状には、血液中のLDL(悪玉)コレステロールが多すぎる場合、HDL(善玉)コレステロールが少なすぎる場合、中性脂肪(トリグリセライド)が多すぎる場合、の3つがあります。

これは、もって生まれた体質によって分かれます。

実はコレステロールは、生命の維持に欠かせない脂質です。

細胞の働きを調節したり、栄養を吸収したり、脂肪の消化吸収を助ける胆汁の材料になります。

したがって、減らせばいいわけではなく、体内に一定の量が保たれていなければなりません。

少なすぎると精神的に不安定になったり、免疫力が低下するといわれます。

善玉のHDLと悪玉のLDLと呼ばれていますが、役割の違いだけで、コレステロールには1種類しかありません。

脂質ですから血液に溶けにくく、リポタンパク質という成分と結合する必要があります。

このリポタンパク質に、サイズの大きいLDLと、小さいHDLがあるのです。

LDLは、肝臓で作られたコレステロールを全身へ運ぶ働きがあります。

増えすぎたコレステロールは、血液から動脈の壁に入り込んで動脈硬化を引き起こします。

そのため、LDLコレステロールは悪玉と呼ばれます。

HDLは、血管にある余ったコレステロールを回収するので動脈硬化を防ぐ効果があり、善玉と言われるのです。

悪玉コレステロールが増える原因は、肉や卵、内臓類などの動物性脂肪、バター、乳脂肪など、コレステロールそのものや飽和脂肪酸を含む食べ物の取り過ぎです。

中性脂肪が増えるのは、食事の量が多過ぎ、清涼飲料水やお酒の飲み過ぎ、揚げ物や甘いお菓子の食べ過ぎなどが原因です。

善玉コレステロールが少なすぎる症状は、中性脂肪の高値と連動することが多いと言われます。

肥満や運動不足、喫煙も原因です。

【次ページ:アルツハイマー病になるリスクも...

 

新井平伊(あらい・へいい)

1984年順天堂大学大学院医学研究科修了。アルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と臨床を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。著書(監修)に『アルツハイマー病のことがわかる本』。

脳寿命を延ばす帯なし.jpg

『脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法』

(新井平伊/文藝春秋)

現在、日本人の「健康寿命」は大いに延びていますが、「脳の寿命」は身体ほど延びていません。そんな「脳の寿命」を伸ばし、活性化させる方法を老年精神医学の世界的権威である新井平伊先生が教えます。「少し汗をかく程度の有酸素運動を週に3回、30分くらい行う」など、具体的なアドバイスが盛りだくさんの一冊です。

※この記事は『脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法』(新井平伊/文藝春秋) からの抜粋です。

この記事に関連する「健康」のキーワード

PAGE TOP