健康な人はコレステロール値がやや高め...! 「コレステロール」と正しく付き合う5つの新常識

卵は1日に1~2個食べても問題なし! 悪玉コレステロールは怖くない! これまでの常識をくつがえすコレステロールについての「新常識」をご紹介。今回は芝浦スリーワンクリニック 名誉院長の板倉弘重(いたくら・ひろしげ)先生に「コレステロールの新常識」についてお聞きしました。

【Before】

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【After】健康な人はコレステロール値がやや高め...! 「コレステロール」と正しく付き合う5つの新常識 2210_P041_02.jpg

コレステロール値が高いと大病のリスクがアップ

コレステロールは、体を健康に保つ上で必要な成分ですが、多くなり過ぎると悪影響を及ぼします。

「コレステロール値が高いまま放っておくと、脂質異常症になります。これは高血圧や糖尿病と並ぶ生活習慣病で、血管が詰まりやすくなり、動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞、大動脈瘤など命に関わる病気のきっかけになります。でも、コレステロール値を下げ過ぎるのも問題があります。生活習慣を見直し、コレステロール値を適正に保つことが大切です」(板倉先生)

さまざまな研究により、コレステロールの常識は変わってきています。

新しい知識を得て、正しく、気楽に、改善してみませんか。

《コレステロールの本当のトコロ》

コレステロールがあるから私たちは生きていける!

「コレステロールは体内でたんぱく質と結合し、コレステロールを運ぶ役割のLDLコレステロールと、余分なコレステロールを回収するHDLコレステロールになります。脂っこいもの、甘いものばかり食べているとLDLコレステロールが増え、血管の中に余ったコレステロールが置き去りにされてしまいます。この余分なコレステロールが血管壁に入り込んで、動脈硬化を引き起こす原因になってしまうのです。定期的に血液検査等を受け、自身のコレステロール値の状態を知ることも大切です。また、中には生まれつきコレステロール値が高い『家族性高コレステロール血症』の方もいらっしゃいます。気になる方は、医療機関(内科)で調べてもらうといいでしょう」(板倉先生)

【新常識】コレステロールは体に必要なものなんです

「脂質の一種であるコレステロールは、人間が生きていくために欠かせないもの。体の細胞を維持し、筋肉や皮膚を健康に保つことができるのは、コレステロールのおかげです。コレステロールをむやみに嫌うのではなく、正しく付き合うようにしましょう」(板倉先生)

脳の神経伝達に使われる

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ビタミンDを作る材料になる

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女性ホルモンの原料になる

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免疫力を維持する健康な人はコレステロール値がやや高め...! 「コレステロール」と正しく付き合う5つの新常識 2210_P042_04.jpg

他にもこんな働きが
脂肪の消化吸収を助ける胆汁酸を作る原料になる/副腎皮質ホルモンの原料になる/新陳代謝を助ける

【新常識】健康な人はコレステロール値がやや高め

「日本人間ドック学会が、健康な方の総コレステロール値を測ってみたところ、それまで適正だと考えられていた数値より『やや高め』であることが分かりました。ただしこれは、あくまでも『健康』な人の場合。肥満や高血圧、糖尿病といった動脈硬化の危険因子を一つでも持っている場合は、適正なコレステロール値を維持しましょう」(板倉先生)


病気になりにくいコレステロール適正値(板倉先生が推奨する値)

LDLコレステロール値:160mg /dl以下が望ましい(180mg /dl以上が異常)

HDLコレステロール値:50 ~ 100mg /dlが健康を維持しやすい(29mg /dl以下が異常)

総コレステロール値:180 ~ 240mg /dlぐらいが健康を守りやすい(260mg /dl以上が異常)


【新常識】悪玉コレステロール は怖くない!

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「LDLコレステロールは『悪玉』と呼ばれますが、『善玉』であるHDLコレステロールとの比率(LH比)が正常であれば怖がる必要はなし。本当に危険なのは、中性脂肪値の高い人に多い『超悪玉コレステロール(sdLDLコレステロール)』。超悪玉は粒が小さいため血管壁に入り込みやすく、動脈硬化を悪化させてしまうことがあります」(板倉先生)


LH比=LDLコレステロール値/HDLコレステロール値

1.5 以下:正常値(血管がきれいで健康な状態)
2.0 以上:コレステロールの蓄積が増えて動脈硬化が疑われる
2.5 以上:血栓ができている可能性あり。心筋梗塞のリスクも


中性脂肪を減らすことも、コレステロール値改善に大切!

【新常識】高コレステロールのままだと、将来要介護のリスクあり

「コレステロール値が高い状態が続くと血管がダメージを受け、筋肉や筋力が衰えて関節や神経といった運動機能に障害が起こる『ロコモティブシンドローム』のリスクが高まります。介護不要の健康な老後を過ごしたいというのであれば、コレステロール値を正常に保つことが大切です」(板倉先生)

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【新常識】女性は閉経後が注意すべき時期

「脂質異常症に注意が必要な時期は男女で異なります。女性は閉経後に中性脂肪値が上昇しやすくなるので、それまで健康だったからと安心せず、食生活や生活習慣を見直しましょう。とくに注意したいのは動物性脂肪。スタミナの元ではありますが、食べ過ぎに注意しましょう」(板倉先生)

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男性は... 
30~60歳の間に中性脂肪が増加。食生活の改善が必須。

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女性は...
閉経後に中性脂肪が急激に増加。脂質異常症のリスクが高まる。

取材・文/和栗 恵 イラスト/たつみなつこ

 

芝浦スリーワンクリニック 名誉院長
板倉弘重(いたくら・ひろしげ)先生

東京大学大学院医学研究科博士課程修了後、同大学第三内科入局。脂質代謝、動脈硬化等を専門に研究し活躍。2009年度、国際栄養学連合にて、顕著な貢献をした研究者の一人に選出。

この記事は『毎日が発見』2022年10月号に掲載の情報です。

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